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22件の記事

「Slackを導入したいので、説明に来てもらえませんか?」

「Slackを導入したいので、説明に来てもらえませんか?」

2025年12月26日

Slackが出始めたころ、導入を勧めた相手からこんな返事が返ってきた。 「Slackを導入したいので、説明に来てもらえませんか?」 正直に言えば、こう思った。 いや、まずは勝手に使えよ。 Slackに限らず、多くのSaaSは無料で試せる。 アカウントを作って、触って、失敗してみればいい。 それだけで「何ができて、何ができないか」は大体わかる。 それなのに、最初から「説明」を求める。 これは

blog note SaaS
なぜ日本企業はSaaSで米国に勝てないのか

なぜ日本企業はSaaSで米国に勝てないのか

2025年12月26日

――導入側と提供側が作り上げた「自己強化ループ」 日本でもSaaS(Software as a Service)は広く普及した。会計、人事、営業管理、顧客対応など、多くの業務がクラウド型のソフトウェアで支えられている。 それにもかかわらず、日本発のSaaS企業が世界市場で存在感を示している例は限られ、またSaaSを導入する側の日本企業も、米国企業ほど競争力を引き出せていない。 この差はしばしば

blog note SaaS
人生を「日本の大手VC型」で設計してはいけない

人生を「日本の大手VC型」で設計してはいけない

2025年12月25日

日本の大手VCに多い投資スタイルがある。 すでに事業が見えている 上場しやすく、説明しやすい 2〜3倍を確実に狙える 失敗しても株の買い取り条項でリスクはほぼゼロ 合理的で、効率的で、コスパがいい。 だが、もし人生をこの発想で設計し始めたら、それはかなり危険だ。 リスクを取らない人生は「関係」を失う この投資スタイルを人生に当てはめると、こうなる。 見返り

blog note philosophy
ムーアの法則が示した「健全なデフレ」

ムーアの法則が示した「健全なデフレ」

2025年12月24日

ムーアの法則は、 「半導体の集積密度(トランジスタ数)が18ヶ月〜2年で約2倍になる」 という、極めて珍しい経済現象を約50年にわたって現実にしてきた。 その異常さは、起点を1970年代後半に置くと、よりはっきりする。 たとえば Apple II(1977年) を例にすると、 CPU:MOS Technology 6502 クロック周波数:約 1MHz トランジスタ数:約

blog note economics
余計な心配をして、何もしない人の話

余計な心配をして、何もしない人の話

2025年12月22日

SNSをやりましょう、と提案すると、だいたい決まって返ってくる言葉がある。 「炎上したら怖いじゃないですか」 「家族がいるので、炎上はちょっと……」 正直、これを聞くたびに内心で思う。 その心配、どこから来た? と。 一般人が何を書いても、まず炎上しない まず、事実から確認しよう。 一般人が、普通のことを書いて、普通に発信して、 炎上する確率はほぼゼロ です。 本当に、ほぼゼロ。 む

blog note SNS
経済に「目覚めた人」が増えたのは良い。でも…

経済に「目覚めた人」が増えたのは良い。でも…

2025年12月19日

ここ数年、TwitterやYouTubeのおかげで、経済の話をする人が一気に増えた。 これは間違いなく良い変化だと思う。 昔は「経済=専門家のもの」で、多くの人は最初から思考停止していた。 ただ、その代償として、少し厄介な現象も同時に起きている。 1. 「分かった気になる」設計が強すぎる SNSやYouTubeの経済コンテンツは、とにかく分かりやすい。 結論は強く、敵と味方は明確で、話は単

blog note 経済
AI時代における「理解」とは何か

AI時代における「理解」とは何か

2025年12月17日

AI時代の学びを迷わせない、たった一つの整理 ――「導出・公式・受験テクニック」を分けて考える AIが計算し、動画でいくらでも解説が見られる時代になりました。 その結果、「暗記はいらない」「学校の勉強はもう古い」という声も増えています。 一方で、こんな違和感を持つ人も多いはずです。 動画を見て分かった気はするけれど、説明はできない AIの答えは使えるが、正しいかどうか判断できない

blog note 教育
なぜ著名な投資家は「歴史」を学び、歴史を書き続けるのか

なぜ著名な投資家は「歴史」を学び、歴史を書き続けるのか

2025年12月16日

金融市場における短期的な価格変動は、政治的事件、スキャンダル、自然災害、あるいは市場参加者の感情といった偶発的要因に強く左右される。一方で、10年単位の長期的な資産価格や産業構造の変化は、歴史的に繰り返されてきた構造要因――信用循環、技術革新、人口動態、覇権国家の興亡――によって高い説明力を持つ。本稿では、ジム・ロジャーズ、レイ・ダリオをはじめとする著名投資家が、なぜ歴史を重視し、歴史書を書くに至

blog note 投資
「目的意識を持てない人」は、AI時代に急速に置き去りにされる

「目的意識を持てない人」は、AI時代に急速に置き去りにされる

2025年12月16日

これは厳しい意見だが、避けて通れない現実である。 AIの進化によって、ソフトウェア開発の現場のスピードは劇的に向上した。 プログラマは、従来の実装領域にとどまらず、PMやデザイナーの領域にまで踏み込めるようになった。 一方で、PMやデザイナーがコードを書き、実装まで担うケースも珍しくなくなっている。 さらに顕著なのは、ジュニア層の変化だ。 経験年数に関係なく、思考のキレがあり、目的を自分で定義

blog note AI時代
DXってなんだか理解している?

DXってなんだか理解している?

2025年12月14日

― 定義をずらした瞬間に、議論は壊れる 近年、日本では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が氾濫している。 企業の中期経営計画、行政資料、補助金の説明文。 そこには必ずと言っていいほどDXという単語が登場する。 しかし、その使われ方を冷静に見ていくと、強い違和感を覚える。 それは、本当にDXなのか。 海外で語られてきたDXの例 DXという言葉が現実の意味を持って語られ

blog note DX
「締め切り」は信用そのものだ――バッファを奪う“締切遅延社会”の構造

「締め切り」は信用そのものだ――バッファを奪う“締切遅延社会”の構造

2025年12月11日

仕事には必ず締め切りがある。しかし、現実には「締め切りを過ぎても交渉すればなんとかなる」「実際なんとかなってきた」という経験則を持つ人が少なくない。そのため、締め切りに間に合わせないことに抵抗が薄れ、過ぎてから連絡し、そこで初めて動き始める――そんな光景は珍しくない。 中には「締め切りは少し過ぎても大丈夫」とアドバイスする人までいる。だが、立場が変わり、自分が締め切りを設定する側になると、その認

blog note 仕事術
なぜ 成長する大企業は、自社研究所よりスタートアップを買うのか――そして、天才たちが“バイアウトのために人生を賭ける時代”が始まった

なぜ 成長する大企業は、自社研究所よりスタートアップを買うのか――そして、天才たちが“バイアウトのために人生を賭ける時代”が始まった

2025年12月7日

1. かつて大企業は「内製R&D」で世界を獲っていた 20世紀の産業競争において、勝敗を決めていたのは自社研究所だった。 製薬:新薬は自社ラボで生む 化学:新素材は自前で開発 電機:新デバイスは社内研究所発 大企業=研究機関であり、 研究テーマを決めるのも、予算を持つのも、すべて企業側だった。 この時代、研究者のキャリアのゴールは明確だった。 「論文 → 評価 → 昇

blog note スタートアップ
AI覇権を決める「DC構築力」と「クラウドOS」──バブル論では語れない文明的転換が始まった

AI覇権を決める「DC構築力」と「クラウドOS」──バブル論では語れない文明的転換が始まった

2025年12月6日

1980年代後半、日本の土地バブルは世界を震撼させた。 「東京23区の土地だけでアメリカ全土が買える」 そう語られたほど、実態を超えた価格がついたことは広く知られている。 しかしいま、同じように世界が驚くような“資産の集中”が再び起きている。 主役は土地ではなく、米国の大手AI企業だ。 Nvidia、Microsoft、Google、Amazon、OpenAI―― これら企業の時価総額や資金調

blog note AI技術
半導体は「日本がいちばん得意な産業」なのになぜ日本発の“100兆円企業”は生まれないのか

半導体は「日本がいちばん得意な産業」なのになぜ日本発の“100兆円企業”は生まれないのか

2025年12月2日

生成AIブームで、世界は再び「半導体の時代」に入った。 クラウド事業者やビッグテックは、巨額の資金を投じてデータセンターとAI向け半導体を増産し、TSMC、サムスン、NVIDIAといった企業の時価総額はいずれも世界トップクラスに並んでいる。 一方、日本。 1980年代には世界シェア4〜5割を誇った半導体大国は、今やロジックやメモリといった「完成品チップ」の分野では主役ではない。 しかし、それで

blog note 半導体産業
🌏 ITの巨人たちの興亡史 ─ 無敵に見えた企業も、なぜ消えていくのか

🌏 ITの巨人たちの興亡史 ─ 無敵に見えた企業も、なぜ消えていくのか

2025年12月1日

― Apple と Microsoft はなぜ生き残ったのか、そして AI 時代の未来へ ― IT の歴史を振り返ると、胸がザワつく瞬間に何度も出会います。 「あの企業は絶対に倒れないだろう」と思っていた存在が、気づけば市場から姿を消していた。 しかもそれは、ちょっとしたベンチャー企業の話ではありません。 アメリカの株式市場で何兆円という時価総額を持ち、新聞の株価欄に連日載っていたような“世界

blog note IT史
経歴に「その人のピーク」は現れる

経歴に「その人のピーク」は現れる

2025年11月30日

人の肩書やプロフィール欄を眺めていると、そこに“その人のピーク”がにじむことがある。 学生時代、情報系の学会の手伝いで、アメリカの国際会議のブースに立ったことがある。そこで来場者にアンケートを書いてもらったのだが、驚いたのはアメリカの大学に留学しているアジア系の学生たちの“攻め方”だ。 まだ修士課程の学生なのに、経歴欄に堂々と「202X年 PhD」と未来に予定を書いてくる。しかもそれが一人や二

blog note キャリア
SaaS導入から見える、日米の「意思決定とスピード感」の決定的な差

SaaS導入から見える、日米の「意思決定とスピード感」の決定的な差

2025年11月30日

SaaS導入の話をしていると、日米の企業文化の違いがものすごくよく見える。 アメリカの企業は、とにかくスピードが速い。担当者がサインアップし、合いそうならその日のうちに有料化し、翌週にはチーム全体に広げている。「とりあえず触ってみる」が完全に習慣化している。 一方、日本では慎重さと丁寧さが前面に出る。比較表を作り、担当部門に説明し、稟議を通し、契約書を締結し、請求書払いで進める。結果、導入まで

blog note SaaS
日本のスタートアップを静かに蝕む “ベンチャーデット依存” の構造

日本のスタートアップを静かに蝕む “ベンチャーデット依存” の構造

2025年11月27日

── EXITの小ささ、リビングデッド化、そして国内市場という天井について 最近、りそな銀行が「ベンチャーデットを3年間で1,000億円まで増やす」と発表した。ニュースだけ読むと「銀行がスタートアップを応援してくれるのは良いことだ」と感じるかもしれない。実際、資金調達の選択肢が増えるのは素直にありがたい。 ただ、これをもう少し引いて見ると、別の景色が見えてくる。 なぜ今、日本でベンチャーデッ

blog note スタートアップ
AI時代の秩序はすでに動き始めている ―「トークンファクトリー」が世界を変える理由

AI時代の秩序はすでに動き始めている ―「トークンファクトリー」が世界を変える理由

2025年11月16日

世界のハイパースケーラー(Google、Amazon、Microsoft、Meta、OpenAI など)は、ビリオン単位の投資を続け、ギガワット級の発電所と並列で稼働する巨大なトークンファクトリー(LLMクラスタ)を構築している。 もはや従来のデータセンターの延長ではなく、「計算を生み出すための発電所」と「トークンを生むための工場」が並列化されている状態だ。 この流れは、多少の株価調整や景気の浮

blog note AI
見返りを求めずに動くほうが、長期的には圧倒的に得をする

見返りを求めずに動くほうが、長期的には圧倒的に得をする

2025年11月15日

今の社会は「コスパ」「タイパ」の言葉が溢れ、 「時間はお金だ」「機会損失だ」 と効率ばかりが正義になっている。 でも実際に大物になった人の話を聞くと、 若いころに誰と組んだか、そのきっかけは驚くほど適当だ。 「飲み会で隣に座ったから」 「なんかノリが合いそうだったから」 「特に理由はなかったけど面白そうだった」 そんな偶然の積み重ねが、後から振り返ると人生を変えている。 合理的な計画よりも、

blog note 人間関係
到達できるゴールは設定しない方が良い。とてつもない目標を持つか、プロセスを楽しむべき

到達できるゴールは設定しない方が良い。とてつもない目標を持つか、プロセスを楽しむべき

2025年11月15日

なぜ「達成できる目標」は危険なのか 私たちは子どもの頃から、明確な目標を持つことが大切だと教えられてきました。「夢を持ちなさい」「目標に向かって努力しなさい」と。そして多くの人が、次のような目標を掲げます。 有名大学に合格する 自分の会社を起業する 株式上場を果たす オリンピックでメダルを獲得する これらは確かに素晴らしい成果です。達成すれば周囲から称賛され、自分自

blog note キャリア
「バズ」に支配される時代に ― メディアの“信頼”をどう見極めるか

「バズ」に支配される時代に ― メディアの“信頼”をどう見極めるか

2025年11月9日

■ 動画メディアは「新しい顔をした旧い仕組み」 YouTube・TikTok をはじめとする動画メディアは、派手で新しい媒体として語られがちだ。しかし、その構造は驚くほど古典的である。 収益源は「広告」か「課金」――結局はオールドメディアと同じ 地平に立っている。 尖った表現や過激な主張が目を引く一方で、彼らが実際に配信しているものはあくまで 大衆向けのコンテンツ。 本質的な正しさよりも、 “

blog note メディア論