AppleのWWDC22の基調講演で、最も私に刺さったのはCarPlay!!これが何を意味するのか?!

AppleのWWDC22の基調講演で、最も私に刺さったのはCarPlay。長年自動車業界にソフトウェアを提供して来た経験から、これが何を意味するかについて語ってみる

まず第一に、スピードメーターとかタコメーターのあるインストルメント・クラスターのUIまでAppleがやってしまうというのは本当に画期的。私も会社もプロトまで作って提案したけど、どうしても通らなかった。

通らなかった一番の理由はベンダーの壁。自動車メーカーは、カーナビはパナソニック、クラスターはデンソー、みたいに複数のベンダーから部品を調達して車を作るので、その垣根を乗り超えるのがもの凄く難しい。

さらに、クラスター(※)までAppleのソフトを使うということは、ユーザー体験をほぼApple任せにしてしまうことを意味する。メーカー独自のユーザー体験を提供できなくなってしまう。

にも関わらず、これだけの数の自動車メーカーがCarPlayの全面採用に踏み切ったのは、お尻に火がついているから。Teslaが加速したEVシフトが、自動車を「走るコンピューター」に進化させてしまったのだ。

これまでソフトウェア作りをハードウェアメーカーに丸投げして来た自動車メーカーには、ソフトウェア・エンジニアはおろか、ソフトウェアが分かる経営者もいない。このままでは、Teslaどころか中国の自動車メーカーに負けてしまう。

そこに手を差し伸べたのがApple。Appleであれば、Googleのように広告でユーザー体験を台無しにすることもないし、プライバーシーの面でも安心。

Microsoftは WindowsCEとWindows Mobileの失敗で組み込み系からは撤退してしまったし、現時点では Apple の CarPlay より魅力的なソフトウェアを提供できる会社は存在しない。

さらに詳しいことは、来週のメルマガに書いたのでそちらをご覧ください。ここまで読んで気がついたと思いますが、これは「ついつい最後まで読んでしまう宣伝」という新たなマーケティング手法の実験でもあります

メルマガ 週刊 Life is beautiful 

(※)クラスター・・・メータークラスターは、スピードメーターや走行距離計など走行時に必要となる各種メーターをまとめたもので、通常はハンドルの向こう側にある計器類一帯のパネルを指す。関連して、カーナビやオーディオなどが収まったパネルはセンタークラスターという。


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