ソフトウェア開発が民主化した
vibe codingで、世界が変わった。
vibe codingとは、Claude CodeやOpenAI Codexなど、AIと対話しながらソフトウェアを作る新しい開発スタイルだ。細かい文法やフレームワークを知らなくても、「こういうものが欲しい」と伝えれば、AIがコードを書いてくれる。
これによって、ソフトウェアエンジニアじゃなくても、自分だけに必要なプロダクトが作れるようになった。これは本当に大きい。
PMが社内の課題管理ツールを作る。経理が請求書処理を自動化する。デザイナーがプロトタイプを実装まで持っていく。
こういうケースが、これから爆発的に増えなきゃいけない。
ツールを作るコストがほぼゼロになった
ここが革命的なんだ。
今まで「コスト的に自動化できなかった」ものが、自動化できる。
- 週に1回しか使わない集計作業
- 特定の人しか必要としないレポート
- 「あったら便利だけど、開発を頼むほどでもない」ツール
こういう「小さすぎて作れなかった」ものが、全部作れる。
そして自動化すると、無駄が見えてくる。もっと良い方法が見つかる。新しいツールのアイデアが生まれる。手を動かして初めて見えるものがある。
なぜ自分でやるのか?エンジニアに頼めばいいのでは?
「AIで簡単に作れるなら、エンジニアに頼めばいいじゃないか」
そう思うかもしれない。でも、それは違う。
課題を一番理解しているのは、その課題を抱えている本人だ。経理の業務で何が面倒かは経理が一番わかっている。営業の報告で何が手間かは営業が一番わかっている。
エンジニアに頼むと、まず課題を説明しなきゃいけない。エンジニアは業務の文脈を知らないから、「なぜそれが必要なのか」から説明する必要がある。説明している間に、本質がズレる。時間もかかる。
しかも、出来上がったものを見て「なんか違う」と思っても、また説明して、また待って…このループが遅すぎる。
今までなら、ちょっとしたツールを作ってもらうのに3週間かかっていた。3週間かけて作ってもらったものに「ここ違うんですけど…」とは言いづらい。言ったとしても、修正にまた1週間かかる。そうこうしているうちに、そもそも何が課題だったのか、なぜこれが必要だったのか、わからなくなってくる。で、多くの場合「まあいいか」と諦める。
AIと対話すれば、10分で動くものができる。しかも、その場で「ここ違う」と言えば、すぐ直る。
vibe codingでは、この中間層が消える。課題を知っている本人が、直接プロダクトに触れる。「違う」と思ったら、その場で直せる。AIに「ここをこう変えて」と言えばいい。だからズレない。
だから、どのポジションの人でも、vibe codingを含めた開発は必須になった。
全員がコードを書く時代
この「10分で作って、その場で直す」ができるかどうか。これが決定的な差になる。
「コードが書けるかどうか」=「自分の意思をプロダクトに直接反映できるか」
経理が「この集計、毎月手作業でやってるんだけど自動化できないかな」と思ったとき。PMが「進捗をリアルタイムで見たいんだけど」と思ったとき。CEOが「この数字とあの数字の相関を見たい」と思ったとき。
自分でAIに話しかければ、10分後には動くものがある。違ったら直す。また違ったら直す。これを繰り返して、本当に欲しかったものにたどり着く。
でも、誰かに頼む人は、3週間待って、微妙なものを受け取って、「まあいいか」で終わる。
この10分の積み重ねを1年続けた会社と、そうじゃない会社。どれくらい差がつくと思う?
自分でAIを使ってツールを作れない人は、「説明する人」に落ちる。
誰かに「こういうの作って」と説明して、待って、出てきたものに「まあいいか」と妥協する。それを繰り返す人になる。
自分で作れる人は、その場で試して、その場で直して、その場で前に進める。
これはエンジニアだけの話じゃない。PMやデザイナーが「技術職になれ」という話でもない。
意思決定者であり続けるための条件なんだ。
この差は決定的だ。
世界一忙しい人もコードを書いている
MicrosoftのSatya Nadella CEOは、vibe codingを毎日している。
早朝に30分かけて二つのコーディングプロジェクトを立ち上げて、家族とバケーションを楽しんでいる間でさえもAIに仕事をさせて、夜に進捗をチェックする。
世界トップレベルに多忙な人が、毎日コードを書いている。
普通の人がやらない理由は、もう言い訳にならない。
本質は「エンジニアになる」ことじゃない
ここを勘違いしてる人が多い。
重要なのは、coding = 思考を実行可能な形に落とす最短言語ってこと。
- アルゴリズム職人になる? 違う
- フレームワーク暗記? 違う
- 正社員エンジニア化? 違う
自分の業務課題を、自分で解決できるツールに変換する力。これだけでいい。
AIは能力の写し鏡
人間に改善を頼むと、遠慮や忖度が生まれる。「こんなこと頼んでいいのかな」「忙しそうだから後にしよう」。
AIにはそれがない。
AIは、その人自身の写し鏡だ。
言語化できる人は、良いツールが作れる。言語化できない人は、曖昧なツールしか作れない。遠慮も忖度もなく、自分の実力がそのまま出る。
今まで、優秀な部下やエンジニアが曖昧な指示を汲み取って、具体的な形に落としてくれていたかもしれない。でもAI相手には、それは通用しない。自分の言葉で伝えるしかない。
だからこそ、この能力を磨く価値がある。
「コードが書ける」の新しい定義
「自分で全部コードを書く」って意味じゃない。今の現実はその逆だ。
AI codingツールが前提になった今、コードを書く力の正体はこう変わった。
- 何を作りたいのかを正確に言語化できる
- 制約・前提・ゴールを構造として伝えられる
- 出てきた成果物を評価し、修正点を指摘できる
- それを即座にフィードバックして反復できる
AIに要求を出して、結果をレビューして、ブラッシュアップを回し続けられる能力。 これが「コードが書ける」の新しい定義だ。
本当に必要な能力
もう少し具体的に言うと、こういう力が求められる。
課題の定義 何が問題なのか、何を解決したいのかを明確にする力。「なんとなく不便」じゃダメで、「この作業に毎週2時間かかっていて、ここがボトルネック」まで落とし込める力。
抽象化 個別の問題から、パターンを見つける力。「この処理とあの処理、本質的に同じだよね」と気づけるか。抽象化できると、一つのツールで複数の問題が解ける。
タスクの分解 大きな課題を、AIが処理できる単位に分解する力。「請求書処理を自動化したい」は大きすぎる。「PDFから金額を抽出」「項目別に集計」「Slackに通知」と分解できるか。
高速イテレーション 完璧を目指さない。まず動くものを作って、ダメなところを直す。10回試行錯誤できる人と、1回で諦める人では、結果が全然違う。
言語化に自信がなくても大丈夫
ここまで読んで「自分は言語化が苦手だから無理」と思った人もいるかもしれない。
安心してほしい。最初から完璧に言語化できる必要はない。
現場では「なんか違う」「動かない」という曖昧なフィードバックが多かった。これは能力不足じゃない。違和感には気づいているのに、それを言葉にする手段がなかっただけだ。
AI codingツールは「言語化の相棒」になる。仮説レベルの違和感をそのまま投げていい。
- 「なんかこの画面、ごちゃごちゃしてる気がする」
- 「この処理、もっとシンプルにできそうなんだけど」
- 「エラーが出たんだけど、何が悪いのかわからない」
AIはこれを受け取って、「こういうことですか?」と聞き返してくる。「違う、そうじゃなくて…」と答える。このやり取りを繰り返すうちに、自分が何を求めていたのかが明確になっていく。
AIと対話することで、言語化能力そのものが鍛えられる。
これが一番大事なポイントだ。
言語化能力は、本を読んでも身につかない。研修を受けても身につかない。実際にAIと対話して、「違う」「そうじゃない」「こっちの方向」とやり取りを繰り返すことでしか身につかない。
だから、今すぐ始めるべきなんだ。
難しいことをやる必要はない。「今日の天気を教えて」でもいい。「このメールの文章、もっと短くして」でもいい。何でもいいから、今日からAIと対話を始めてほしい。
簡単なことから始めて、少しずつ複雑なことを頼むようになる。そのプロセス自体が、言語化能力を鍛えるトレーニングになる。
始めるのが早ければ早いほど、差がつく。
その先にある未来
全員がvibe codingを使い始めたら、何が起きるか。
会社のあらゆるタスクがデジタル化されていく。手作業が自動化され、業務の効率と生産性が上がっていく。
エンジニアの役割も変わる。「コードを書く」こと自体は差別化にならなくなり、非エンジニアが作ったツールのレビューや、複数のツールを統合するアーキテクチャ設計、組織全体の開発力を底上げする仕組みづくりが重要になる。
そして空いた時間で、もっと本質的なことを考えられるようになる。新しいアイデアを、AIと一緒に考え、形にしていくことができる。
これが、vibe codingがもたらす未来だ。
一緒に始めよう
職種は関係ない。PM、デザイナー、経理、営業、CEO。誰でも今日からvibe codingを始められる。
Claude CodeでもOpenAI Codexでも、ツールは何でもいい。
我々シンギュラリティ・ソサエティは、一歩を踏み出す人を全力でサポートしたい。一緒にソフトウェア開発の民主化を進めよう。
Code is the new literacy.