前編では、中島聡による自作アプリ「MulmoClaude」のデモをお届けしました。後編は、有本による「BootCamp の歩き方」セッションです。半年〜1 年という長期タームのプログラムをどう走り抜くか——その進め方と、技術以上に大切にしているマインドセットについて語りました。
※ 以下は、有本本人の語り口のまま、当日のセッション内容を AI を使って読み物に再構成したものです。話し言葉は整えていますが、発言の趣旨は変えていません。BootCamp の概要、過去の開催レポートもあわせてご覧ください。
それでは、第 4 回 BootCamp について説明していきます。ご参加いただきありがとうございます。今回はかなり多くの方に集まっていただいたので、とても楽しみにしています。
今回は、日鉄興和不動産様にスポンサーとして会場を無償提供いただいています。Tech・イノベーションの街・品川の品川インターシティで今回のキックオフを開催できました。会場提供、ありがとうございます。
Singularity Society について

続いて、Singularity Society について簡単に説明します。2018 年に設立して、今年で 8 年目です。エンジニアや起業家が集まる、ノンプロフィットのコミュニティです。当初は対談やオンラインサロン的な活動から始まりましたが、徐々に方向性を変えて、いまはテックコミュニティとして、実際に手を動かしてプロダクトを作る人たちが集まる場になっています。
手を動かさない人だけを集めても、何も生まれません。実際に何かを作って、動かして、変えていける人を集めることをターゲットにしています。
BootCamp について——「長期ハッカソン」
この BootCamp は今回で 4 回目で、2023 年から開催しています。もともとはハッカソンをやっていました。ハッカソンは短期間で優秀な人が集まって面白いものができる反面、その場限りの交流で終わってしまう。それに、せっかく作ったプロトタイプがプロダクトにならず、社会に出ていかない。そういう課題がありました。
それを解決するために、半年〜1 年の長期タームでハッカソンをやるイメージで、このプログラムを作りました。この期間を通じて、粘り強く取り組める優秀な人が残り、交流が深まり、プロダクトが生まれて、中には起業につながったり、海外のアクセラレーションプログラムに参加したりと、さまざまな成果につながっています。

BootCamp はスクール型ではなく、大学院のゼミのような形です。参加者それぞれが自分の課題を進める中で出てくる問題やつまずきを、我々がサポートして前に進める。今回は Vibe Coding コースがあって、非エンジニアの方が多いので、スクール型を期待している方もいるかもしれませんが、そうではなく、自ら動く人たちをターゲットにしている、という点はここで一度お伝えしておきます。

この BootCamp は、他のアクセラレーションプログラムと違って、「起業する」「成績を取る」といった固定のゴールを設けていません。集まった人それぞれで目標が違うので、多種多様な人が、多種多様な方向性で活動できる。これが大きな特徴です。
スケジュール
具体的なスケジュールを見ていきます。
いまは 6 月で、先々週あたりからオンラインで活動を始めていますが、最初の 3 ヶ月は毎週オンラインでアップデートを行う予定です。これまでの BootCamp コースでは、ここまで密にはやっていませんでした。ある程度できたものを評価するスタイルだったのですが、今回は Vibe Coding コースの方が多いので、立ち上げ期にしっかりサポートできるよう、毎週オンラインミーティングを設けます。必須ではありませんが、できるだけ多くの回に参加してもらえると助かります。それから、基本的に月 1 回は必ず発表していただく形にしています。
3 ヶ月後、ある程度ベースができた段階で、ミーティングの頻度を落として、Slack 上のサポートへ移行する予定です。ただ、参加者同士でオンラインミーティングを続けたり、強い要望があれば、頻度は落としながらも続ける可能性もあります。今日のような対面の会をあと 2 回ほど開催できればと考えています。
Vibe Coding コースについて
Vibe Coding コースについては、毎週オンラインミーティングを開催します。それ以外にも、なるべく Slack に書き込んで、何をやっているか・何につまずいているかを、毎週必ず報告してほしいと思っています。報告できていない方は、脱落という形になります。
BootCamp コースとチーム化

BootCamp コースの最終目標は、自分たちのプロダクトをローンチすることだと思っています。「このサービスを作っている」「どうしてもこれを作りたい」という方以外は、できる限り今回の会を通じて、似たアイデアを持つ方たちとチームを組んで、最初のアイデアを捨てて新しく作ってほしいと思っています。ソロで参加して作る方は、途中で脱落したり、中途半端な形で終わることが多いんです。できる限りチーム化して、最初のアイデアは一旦置いて、「自分の課題は何か」をしっかり考えた上で、改めて案を出してください。

チーム化については、もう少し補足します。BootCamp コースだけでなく、Vibe Coding コースでも、できればチームを作ってほしいと思っています。先々週のミーティングでは、皆さん個人でやるとおっしゃっていましたが、作るもの自体はそれぞれの業務向けだったりするので、最終的な成果物は別々でも構いません。ただ、相談相手がいること、似た分野なら共通の課題もあるはずなので、そういう相談ができる相手を見つける意味でも、チームで進めてほしいと思っています。今日はこういう機会があるので、いろいろな方と交流して、一緒にやれる人を見つけてください。
ミーティングの進め方——Google Docs 1 枚運用
次に、ミーティングの進め方です。すでにミーティングに参加したことがある方はご存じかと思いますが、少し変わったやり方をしています。

URL はすでに共有していますが、Google Docs を用意しています。このドキュメント 1 枚を、毎週のミーティングで使います。ミーティングごとに新しいドキュメントを作るのではなく、同じドキュメントに上から継ぎ足して書いていく形です。
ミーティング参加者は、ミーティング前に必ずここに参加者の名前を書いてください。発表する方は、相談事や進捗を事前に書いておいてください。これをベースに当日を進めます。
事前に書いておくと、相談事項があっても、Slack で手早く回答できるものは Slack で済ませられます。そうすると当日話す内容がコンパクトになりますし、Slack でやり取りすればログも残ります。だから、事前に Slack でディスカッションする運用にしています。当日も、参加者の皆さんでこの内容を随時更新していって、決まったことやアイデアをすべてここに書いていく。最終的には議事録のような形になります。
これをやると会議がかなりコンパクトに終わるので、ご自身の仕事でも使えると思います。ぜひ試してみてください。
すべてをテキストで残す——Slack の使い方
Slack には、コース全体のラウンジと、Vibe Coding 用のチャンネルを用意しています。Vibe Coding コースの方は、Vibe Coding のチャンネルを使って、自由に進捗や疑問を投稿してください。チームを作った方には専用チャンネルを作りますので、そちらでディスカッションします。専用チャンネルは閲覧できる人が限られますが、興味がある方はチームのチャンネルへの参加も可能にしています。チーム専用チャンネルも、できれば閉じずに Public にしてほしいと思っています。

全体を通して一貫してお伝えしているのは、「すべてテキストで残してほしい」ということです。今日のこの後の交流会では、皆さん熱くなって、いろんなアイデアが出て盛り上がると思います。でも、熱くなって終わり、というパターンが多くて、そのまま揮発してなくなってしまいがちです。アイデアが出たら、その場でメモする習慣をつけてください。
Slack の DM やプライベートチャンネルでやり取りしても、他の人には見えません。皆さんが持っている疑問やアイデアは、他の人にとっても必ず役に立つものです。パブリックな場所に書き出すことを習慣にしてください。
マインドセットをインストールする
BootCamp で一番大切なのは、技術的なことを学ぶことよりも、マインドセットをインストールすることだと思っています。

真面目に生きてきた方は、いろいろな制約や制限がインストールされていて、それがあると、見える世界やアイデアの幅が狭まってしまいます。自ら学習して、課題を設定して、動く。許可を取らないで行動する。他人に頼れる部分は頼る、でもオーナーは自分。折に触れて、メンターや私が、そういった制限を外すためのコメントや文章を発信していきますので、それを読んで、自分の中にある制限を外していってください。そうやって自分で動けるようになると、かなり何でもできるようになります。この BootCamp を、マインドセットを作っていく場だと思って参加してください。
求められること——内発的動機と「やる気関数」
募集のときにもお伝えしましたが、求められることで一番大切なのは、内発的動機です。

BootCamp では「これをやれ」という指示はありません。自ら楽しんでやることが大切なので、率先して取り組んでください。時間のコミットについては、週 16 時間を目安にお願いしています。これはとても大切です。
ここで「やる気関数」という話をします。

今日は皆さん、やる気がマックスの状態だと思います。でも、1 か月もすると、そのやる気は半分以下になる方がほとんどです。3 か月も経つと、Slack も流れなくなって、アップデートもなくなる。この 4 年間で繰り返されてきたパターンで、皆さんも人生経験としてお分かりだと思います。
だから、やる気には頼らないでください。コンスタントに結果が出る仕組みを、自分で作ってほしいんです。食事や睡眠と同じように「この時間は必ずやる」と決めて、継続的にアウトプットする。そうすると、その積み重ねの面積が結果になります。やる気は指数的に減っていく前提でも、一定量のアウトプットを淡々と積み上げれば、面積として効いてくる。やる気を使って一時的に頑張るよりも、淡々と続けるほうがよい成果が出ます。ぜひ意識してください。
継続のための条件
最後に、一番大切な継続のための条件です。

BootCamp は参加者が多いので、細かいサポートはしません。アウトプットがなくなった方は、Slack アカウントを予告なく退会いただきます。警告はしません。警告のやり取りに時間がかかるので、そうしています。締め切りがあるもの——発表の申し込みなど——は、締め切りを過ぎた時点で退会です。スライドにも「1ms の遅れもダメ」と書いていますが、これだけはよく覚えておいてください。
なお、こちらのミスで、誤って別の方を退会扱いにしてしまうことがあります。その場合は、メールで「提出したのに退会扱いになりました」と連絡してください。確認して復活させます。それ以外の交渉には応じません。
最後に——失敗していい場所

ここは失敗していい場所です。学校でも会社でもありませんので、どんどん新しいことに挑戦して、失敗して、学んでいきましょう。失敗のノウハウは共有してください。そして皆さんで助け合ってください。主役は参加者の皆さんであって、私や中島さんではありません。皆さんでやっていきましょう。

こうして、第 4 期 BootCamp は半年〜1 年の長い旅へと走り出しました。多種多様な参加者が、それぞれのゴールに向けてプロダクトを育てていきます。次の中間発表で、どんなプロダクトが生まれているのか、今から楽しみです。
👉 まだの方は 前編「MulmoClaude のデモ」 もあわせてどうぞ。