Claude Codeを使えば、誰でもコードが書ける時代になった。
雑な指示でも、それなりに動くものが出てくる。見た目もきれいだし、エラーも少ない。プロトタイプなら30分で完成する。プログラミング経験がなくても、アイデアさえあれば形にできる。
これは事実だ。
でも、それはソフトウェアエンジニアの終わりではない
「AIがコードを書けるなら、エンジニアはいらないのでは?」
そう思う人がいるのは理解できる。だが、現実はまったく逆だ。
実サービスにコードを投入するには、今まで通りのノウハウが必要になる。
- セキュリティの担保
- 認証・認可の設計
- インフラの設定とデプロイ
- コードレビューと品質管理
- 障害時の対応と運用
これらは、コードが「動く」だけでは解決しない問題だ。Claude Codeが自動化したのは「コードを書く」という工程だけであり、それを評価し、運用する人間が必要なことは何も変わっていない。
「動く」と「正しい」は違う
Claude Codeの出力は、見た目が良い。構造もきれいだ。動く。
だが実際には、コピペだらけだったり、1つの関数が数百行あったり、人間なら可読性の観点でやらないことを平気でやってくる。動くが、読めない。読めないコードは、直せない。
そして、こう問われたらどうか。
- そのコードは正しいか?
- 拡張性はあるか?
- セキュリティは担保されているか?
- 半年後にメンテナンスできるか?
- 他のシステムと安全に連携できるか?
これを判断できるのは、経験を積んだエンジニアだけだ。
AIが書いたコードは、人間が書いたコードと同じように評価される必要がある。むしろ、AIが書いたからこそ、より慎重にレビューする必要がある。なぜなら、AIは自信満々に間違えるからだ。
シニアエンジニアの役割が変わる
これまで、シニアエンジニアの時間の多くは「コードを書く」ことに使われていた。
設計を考え、実装し、テストを書き、レビューを受ける。このサイクルがボトルネックだった。
Claude Codeによって、このボトルネックが消えた。
シニアエンジニアは、コードを書く代わりに、アイデアを形にし、出力を評価することに集中できるようになった。アーキテクチャの判断、技術選定、品質の見極め。これまで手が回らなかった本質的な仕事に時間を使える。
生産性は数倍になる。しかもそれは、コードの量が増えるという意味ではない。判断の質と速度が上がるという意味だ。
ジュニアエンジニアの二極化
ジュニアにとって、この変化は残酷なほど明確だ。
カンの良い人は、爆速で伸びる。
Claude Codeでコードを書き、レビューのポイントをAIに聞き、自分のコードをAIにレビューしてもらう。このサイクルを高速で回すことで、「良いコードとは何か」の理解が加速する。以前なら3年かかった成長が、半年で起きる。コードを書く時間が圧縮された分、設計や判断を学ぶ時間が増えるからだ。
一方で、カンの悪い人にとっては厳しい時代になった。
AIが出力したコードの良し悪しを判断できなければ、いくらコードを量産しても成長しない。「動くから正しい」と思ってしまう人は、むしろ危険だ。間違いに気づかないまま、間違った知識が積み上がっていく。
できる人がどんどんできる世界
これがゲームチェンジの本質だ。
AIは全員に同じツールを渡す。だが、そのツールから引き出せる価値は、使う人間の能力に依存する。
優秀なエンジニアは、AIによって10倍の生産性を手に入れる。そうでない人は、AIがあっても大して変わらない。
結果として、能力差は圧縮されるのではなく、拡大する。
これまでは「コードを書く速度」が均等化の力として働いていた。誰でも1日に書けるコードの量には限界がある。しかしAIがその制約を取り払った今、差を生むのは純粋に「何を作るか」「どう判断するか」という知的能力だけになった。
クラウドとAIの株価について
Amazon、Azure(MSFT)の株価が下がっている、という話がある。
だが、冷静に考えてほしい。
AIは最終的にどこで動くのか。クラウドだ。
LLMの推論にはGPUが要る。学習にも膨大な計算資源が要る。エージェントが普及すれば、API呼び出しの回数は爆発的に増える。その全てが、ハイパースケーラーのインフラ上で動く。
短期的な株価の変動は、市場のセンチメントに過ぎない。AIの普及が進めば進むほど、クラウドの需要は指数関数的に伸びる。ハイパースケーラーが正しいことは、時間が証明する。
これから起きること
市場は伸びる。
AIに置き換わる仕事は増える。やらなくてよい仕事は簡素化され、AI化される。それは避けられない。
だが同時に、新しい仕事も生まれる。AIを使いこなし、正しく評価し、実サービスとして運用できる人間の価値は、むしろ上がる。
ソフトウェアエンジニアは終わらない。変わるだけだ。
コードを書く仕事から、コードを評価し、判断し、設計する仕事へ。手を動かす仕事から、頭を使う仕事へ。
その変化に適応できるかどうか。それが、これからのエンジニアに問われていることだ。