2026世界に飛び出そう

2026世界に飛び出そう

昨年の vibe coding 環境の進化は、目まぐるしいものだった。2025年前半までは、AIでまともなコードを作るのはまだ不可能だと感じていたが、モデルそのものの進化、そしてプロンプト設計の洗練によって、Codex や Claude Code を使ってコードを書くことが、明確に現実的になった。

きちんと指示を出す、あるいはベースとなるコードやルールがあれば、多くのケースで、人間が書くのとほとんど変わらないクオリティのコードが、人とは比べものにならない速度で生成される。既存のコードや規約にも従うため、「他人が書いた PRをレビューする」程度の労力で、新しい実装ができてしまう。

これまで1か月かかっていたものが数日でできるようになり、労力の割にリターンが少なくて作るのをためらっていたものも、今では秒で試せる。その結果、試行回数、速度、品質が同時に向上した。初歩的なバグ調査に使っていた時間は減り、設計や判断に使える時間が相対的に増えている。

基本的には「コード生成 → 動作確認 → マージ」を繰り返すだけで、開発はどんどん進む。アイデアがあればあるだけ前に進められる。ボトルネックは、完全に人間の認知能力になった。

ここが重要だ。これまで開発の制約だった人手や役割分担はほぼ解消され、いま制約になっているのは「何を作るかを考え、選び、捨てる能力」そのものになった。その結果、このイテレーションは、もはや組織でなければ回せないものではなくなり、バックエンド、UI、インフラをすべてAIに任せて、1人で完結させることすら不可能ではなくなっている。

AIの進化は指数関数的だ。2023年頃からのLLMの進化は、体感的にはすでに10年分以上に感じられる。昨年後半に起こった進化の、さらに4倍以上の変化が今年も起こるだろう。この1年が終わったとき、世界はどうなっているのか。楽しみであると同時に、正直なところ怖さもある。

コードの中身を細かく確認する必要は減り、正しく動いているかどうかだけを確認する世界になるのかもしれない。「コードで何かを作る」という行為そのものが、別次元にジャンプアップする可能性がある。

こうした変化を支えるのがエージェントの進化だ。2024年末に構想されていたアイデアの多くは、すでに実現され社会実装されている。今年はさらに進み、エージェントは特定のUIや形を持たず、または既存のUI/UXに溶け込み、自然な体験の中に溶け込む「偏在する存在」になっていく。複雑なフローやエージェント同士の結合も、Google や Anthropic を中心に登場しつつあるプロトコルによって、標準的に統合されていくだろう。

結果として、大きな領域の美味しいところはビッグテックとヘクトコーンが押さえる。一方で、初期コストと実験コストがほぼゼロになったことで、各国のスーパーチームが次々とユニコーンになって現れる。ヘクトコーン上場でビリオネアになったエンジニアが、また新しいスタートアップを作る。そのループは、これまでとは桁違いのスピードで回り始める。

この流れの中で、日本で小粒なAI受託をしている企業の多くは厳しい立場に置かれる。付加価値が「AIを使うこと」そのものに留まる限り、それは誰でもできる作業になり、結果として「新しいツールを使うだけの小さな会社」として残る可能性が高い。

いまや、ほとんどのものはプロンプトとエージェント同士の連携で作れる。だからこそ、小さな市場を相手にするのではなく、人類全体が使いたくなるもの、そして自分たち自身が毎日使いたくなるプロダクトを作る必要がある。

クラウドを使い、Stripeで課金し、各種SaaSを組み合わせれば、グローバル市場向けのサービスはすぐに立ち上げられる。言語の壁も、理解の壁も、AIが補助してくれる。わからないことはAIに聞けばいい。

数年後に人類全体が使っているプロダクトをイメージし、それを自分たち自身が毎日使いながら作っていく。目の前の小さなキャッシュではなく、数年後の世界のユーザーに向けてプロダクトを作る。それが、2026年に最も現実的で、最も求められている姿勢だ。

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