Bus 2.0
シンギュラリティ・ソサエティでは、「自動運転車に最適化した街」のようなビジョンの構築もしますが、同時に、目の前にある問題を解決する商品やサービスを作りたいと考えています。
その中で、是非とも力を入れるべきと考えているのが、少子高齢化に悩む日本の地方向けの乗合バス・サービスです。実際のサービスは、UberのUber PoolもしくはExpress Pool に近いものですが、それを地方自治体も交えて、(既存のローカル線、タクシー、路線バス、およびマイカーを置き換える)主要な公共交通機関として、日本中に展開しようという大きな構想です。
日本は、高度成長期から続いている東京一極集中に少子高齢化が重なることにより、地方での過疎化と高齢化が進んでいます。その結果、ローカル線や路線バスなどの公共交通機関は、ビジネスを維持することが難しくなっています。乗客が減った分だけ本数を減らせば、不便になった分だけ利用客が減る、という悪循環が各地で始まっています。
結果として、自分で自動車を運転するしかないのが現状ですが、それが高齢者による事故増に繋がっているし、飲酒運転がいつまでたってもなくならない原因の一つです。
米国であれば、Uber や Lyft がこのニーズに答えてサービスを提供するでしょうが、規制が厳しい日本では、彼らのサービスが普及するとは考えられません。
そこで我々が作りたいのは、地方自治体向けのカーシェアリング・サービスの提供です。自動車や運転手の手配は、地方自治体や地元の企業(特にタクシー会社やバス会社)に任せ、こちらでは、バックエンドサービスとモバイルアプリのみを SaaS として提供するのです。
実際の運営形態は地方自治体ごと若干異なるとは思いますが、イメージしているのは、以下のような形態です。
- 車両は7〜9人乗りのバン(できれば電気自動車)
- 運転手はバス会社とタクシー会社が提供
- 待機車両+ドライバーを用意し、急な需要の増加に対応
- 利用者はスマホアプリで行き先を指定して呼び出す
- 高齢者向けに音声対応も(人間のオペレータが対応)
- 到着時刻指定の予約も可能
- 特定の路線は走らず、要求に応じて柔軟に走行
- 迎えに行くのは、原則として近くの交差点まで
- 基本価格は路線バスと同等
- 急ぐ場合、戸口まで迎えにきて欲しい場合、一人で乗りたい場合、長距離利用は割増料金(最大タクシーと同等)
- 主なターゲットは、通勤、通学、通院、買い物、飲み会、駅と施設間の送迎
- 商用を除く自家用車利用の70%の置き換えを目標
- 災害時には避難車両+ドライバーとして活用
まずはこんな形でサービスを立ち上げ、地方自治体を一つづつ説得して行き、自動運転が実用化されたら、徐々に自動運転車に入れ替える(bus 3.0)ことを考えています。
ソサエティとして、まずは地方自治体へのヒアリングも含めたニーズの明確化をした上で、サービスの設計をきちんとし、プロトタイプを作ます。