地方公共交通の運用効率測定アプリ

Bus2.0 地方公共交通の運用効率測定アプリ

システムの概要

地方公共交通の運用効率測定アプリの概要図

シンギュラリティ・ソサエティ高知工科大学が連携し、地域公共交通の効率的な運用の基礎データとなる詳細な乗降客数を、IT技術を駆使して簡単に把握するための、公営バス乗降客数カウントアプリを開発しました。

地方都市では、過疎化や高齢化に伴う乗務員の不足が深刻で、公共交通の維持が困難になっています。自治体が運営するバスを効率的に運用するためには、路線や便、バス停の場所などを吟味/再編することが求められていますが、そのためには、路線別/曜日別/便別に、バス停ごとの詳細な乗降客数を把握する必要があります。しかしこれは簡単ではありません。ワンマン運転の乗務員は安全な運行に集中する必要があり、乗降客数の記録に手間をかける事ができません。また、Suicaに代表されるカード決済と同期した乗降記録についても、現金支払いが中心の公営バスでは利用ができません。
そのため、これまでは、専用の人員をバスに同乗させて記録する方法がとられてきましたが、この方法は人件費がかかる為、年1回程度が限度でした。これでは効率的な運用の基礎データとしては不十分です。また、この記録も紙のメモを利用していたため、後で表計算アプリに入力し直す必要がありました。

このような問題を解決する為に開発されたのが、本アプリであり、これによって乗務員の負担にならない程度の簡単な操作で、乗降客数をカウントすることができます。乗務員の操作は、乗降が発生するたびに、その人数分だけ[+]か[-]のボタンを押すだけで、とても簡単です。便名やバス停名や時刻などの記録は全て自動化されていますが、それを可能にしているのが、GTFSデータの活用です。GTFSデータには路線/便/時刻表/バス停名称/バス停の緯度経度が含まれている為、これを活用することで乗務員の操作が減るだけでなく、データ入力の手間やヒューマンエラーも減らす事ができます。運行が終わればすぐに全ての情報デジタル化された状態でクラウドに出力されます。その後は自治体でのデータの分析作業になりますが、そこは、従来の分析手法がそのまま利用できるので、自治体の負担も増えません。利用する端末は、乗務員のスマートフォンと回線が必要になりますが、その他はクラウドサーバと自治体の既存パソコンのみであるため、初期投資額も抑える事ができます。

以上のように、簡単、便利、安価にデータの取得と分析が可能になり、路線再編などによる効率化と公共交通の維持に貢献することができます。
さらに、本アプリでは、車両の運行前点検にも対応しています。従来は乗務員が点検項目が列挙された紙のメモに○×をつけてきましたが、この作業もスマートフォンで可能になり、クラウドの一覧表に結果が記録されます。
地域公共交通の運用経費は過疎地の自治体には巨額です。利用者数を把握するために過度なシステムの導入は費用対効果の面でもマイナスとなります。そこで、非営利団体であるシンギュラリティ・ソサエティや大学と、自治体が連携して、背伸びしないDX化によるアプリを開発し、乗務員と自治体の負担軽減や、効率的な運用による利用者の利便性の向上を目指しています。

システムの概要を下図に示します。

利用者、端末、情報の流れの概要図

本アプリの概要と特徴のまとめ

(1)乗降客数カウント機能

(2)運行前点検機能

スマホアプリの動画

乗務員用スマホアプリを利用している様子

説明資料

詳しい説明資料です

アーバンデータチャレンジ2023でW受賞しました。

2024年3月9日、東京大学駒場リサーチキャンパスで開催された「アーバンデータチャレンジ2023 with土木学会インフラデータチャレンジ2023」において、本アプリについて「地方公共交通の運用の効率測定を自動化するMaaS DXサービス」と題して発表し、GTFS賞優秀賞と、ビジネス・プロフェッショナル部門優秀賞を受賞しました。アーバンデータチャレンジ2023は、地方自治体をはじめとする各機関が保有する社会基盤情報の公開・流通・利用の促進に向けた取組として、オープンデータ等を積極的に活用し、地域課題の解決に効果的なアプリケーションや活動等を募集するコンテストです。

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発表の様子(YouTube 発表頭出し)
発表投影資料
審査結果