公営バスを中心とした地域コミュニティーアプリ
Bus2.0 公営バスを中心とした地域コミュニティーアプリ
- 地方の過疎地域では、バス利用者の減少→減便→不便→利用者減の悪循環となり、生活維持の為の移動もままならないため、利用者数向上の仕掛けが必要。
- バス車内は知り合いが多く、コミュニケーションの場でもあるため、地域に関連する写真をタブレット端末で共有することで話題提供し、バスに乗ること自体の魅力を向上する。乗客が自分で撮影した写真を投稿/共有も可能。
- 現在は、試験的な運用段階であるが、近々本格実装予定。
システムの概要
シンギュラリティ・ソサイエティと 高知工科大学が連携し、過疎化が進む地域の公共交通の利用促進を目指して、IT技術を活用した車内写真共有システムを開発しました。
地方の過疎地域では路線バス利用者は年々減少しています。民営での運営は困難のため自治体が運営していますが、その維持も難しくなってきています。運営費用の制限や乗務員不足による減便によって利便性が低下し、それが利用者離れにつながって、さらに運営が困難になるという悪循環を乗り越える必要があります。まず第一に利用者を増やす必要がありますが、そのためには買い物や通院のための実用的な利用に加えて「バスに乗ること自体の楽しみ」を提供することも重要です。実は、過疎地域の公営バス車内は顔見知りが多いため、バス車内でのお喋りも大切なコミュニケーションです。
この点に注目して、シンギュラリティ・ソサイエティと 高知工科大学が連携し、車内に置いたタブレット端末で地域に関連した写真などを共有/閲覧できるシステムを開発しました。地域のニュース画像や懐かしい古写真などを閲覧できるだけでなく、乗客が自らスマホで撮影した写真を投稿/共有することもできるため、それらを車内で眺めながら会話を楽しむことができます。
写真投稿アプリはwebアプリであり、アプリのインストールなどの手間は不要です。また、投稿された写真の管理もwebアプリとなっており、自治体や運行管理者などが既設のパソコンを用いて行うことができます。
バス車内での写真などの共有が有効であることは、既に研究で明らかです(バス車内における地域の情報提供が住民の利用意識と地域交流意識に与える影響に関する研究西内、宮本、2023, 土木学会論文集)。本システムは、これら研究成果を社会実装するとともに、さらに発展させるものです。
過疎地の自治体にとっては地域交通の運用だけでも巨額の経費が必要であり、利用者を増やすためにできることも限られています。そこで、非営利団体であるシンギュラリティ・ソサエティや大学と、自治体が連携して、背伸びしないDX化による写真共有システムを開発し、利用者の公共交通網に対する魅力向上を目指しています。
システムの概要を下図に示します。
本システムの概要と特徴のまとめ
- 公営バス車内で、地域の古写真や話題の写真をタブレット端末で閲覧可能。
- コミュニケーションの場としてのバスの魅力を向上し、乗客数アップを図る。
- 乗客が撮影した写真も共有可能。
- 投稿された写真の表示/非表示などを、自治体や運行管理者が管理可能。
- 投稿アプリや写真管理アプリはwebアプリとし、アプリのインストールなどは不要。
- 車内タブレット端末はiPadを利用し、iOSアプリを開発。