インターネットの歴史を振り返ると、多くの巨大サービスは最初から既存の法律や業界ルールに完全に適合していたわけではない。
むしろ、
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法律が想定していない
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権利処理の枠組みが存在しない
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業界慣行が確立していない
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解釈が定まっていない
といった領域に挑戦し、その後に制度や業界の方が対応してきたケースが少なくない。
もちろん違法行為が許されるわけではない。しかし、インターネット史における大きなイノベーションの多くは、既存制度との摩擦の中から生まれている。
Google ― 「勝手にインターネットをコピーした」
今では当たり前だが、Googleの検索エンジンは世界中のWebサイトを巡回し、その内容を複製して検索インデックスを構築している。
さらにGoogle Cacheでは、ページのコピーを保存し、オリジナルサイトが落ちていても閲覧できるようにしていた。
現在では検索エンジンの社会的価値が広く認められているが、当時は「他人のWebサイトを勝手に複製している」という批判も存在した。
結果として、
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robots.txtによる拒否権
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検索エンジンのフェアユース的な扱い
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検索事業者とサイト運営者の共存関係
が形成され、現在の姿に至っている。
Google News ― 「ニュース集約は誰のものか」
Google Newsはニュース記事の見出しや要約を集約して表示するサービスとして登場した。
出版社からは「取材コストを負担しているのは我々なのに、利益は検索事業者が得ている」という批判があった。
現在でも国によってはニュース利用料の議論が続いているが、ニュースアグリゲーションという市場そのものは定着した。
YouTube ― 「世界最大の著作権侵害サイト」からの転換
初期YouTubeにはテレビ番組、映画、アニメ、音楽PVなどが大量に投稿されていた。
YouTube自身が投稿したわけではないが、著作権侵害コンテンツが急速な成長を支えたことは否定できない。
その後、
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Content ID
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収益分配
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権利者向け管理ツール
を整備し、「削除されるだけの違法アップロード」を「権利者も収益を得られる仕組み」へと変えていった。
Uber ― 「まず走らせる」
Uberはタクシー業界が前提としていた規制そのものに挑戦した。
既存のタクシー事業は、
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営業免許
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車両規制
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営業区域
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運賃規制
などのルールの上に成り立っていた。一方Uberは、「配車アプリであり、従来のタクシー会社ではない」という立場で急成長した。その結果、多くの国や都市で「これは白タクではないか」という論争が起きた。
しかし利用者が増えたことで、多くの地域では規制の見直しや新制度の整備が進んだ。
Airbnb ― 「ホテルを持たないホテルチェーン」
Airbnbも同様に既存制度との摩擦から成長した。
当初は個人宅の空き部屋を貸し出すサービスだったが、多くの国ではそのような宿泊形態が制度上想定されていなかった。
ホテル業界から見れば、
「無許可の宿泊施設」
だった。
しかし利用者とホストが増えたことで、多くの国が民泊制度を整備する方向へ進んだ。
LinkedIn ― 「アドレス帳を成長エンジンにした」
LinkedInの初期成長を支えたのはアドレス帳インポート機能だった。
ユーザーが許可すると、
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Gmail
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Outlook
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Exchange
などの連絡先を読み込み、大量の招待メールを送ることができた。
現在ではプライバシーやスパムの観点から慎重な扱いが求められるが、当時は多くのSNSやサービスが似た手法を採用していた。
Google Street View ― 「世界を撮影して回る」
Street Viewは世界中の道路を撮影し、誰でも閲覧できるサービスとして登場した。
しかし開始当初は、
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家が写る
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人が写る
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車のナンバーが写る
といった理由で大きな議論を呼んだ。
さらに撮影車両によるWi-Fi情報収集問題も発覚し、世界各国で規制当局の調査対象となった。
それでも現在では地図サービスの重要な一部として定着している。
OpenAIと生成AI ― 現在進行形の論争
現在もっとも大きなグレーゾーンとして議論されているのが生成AIである。
大規模言語モデルは、
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書籍
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ニュース記事
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ブログ
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ソースコード
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フォーラム
など膨大な公開情報を学習している。
問題は、
「学習のための利用は著作権侵害にあたるのか」
という点だ。
これは現在も世界各国で裁判や法整備が進行中であり、結論はまだ出ていない。
消えた企業も多い
重要なのは、すべての挑戦者が成功したわけではないということだ。
NapsterやGroksterのように、法廷闘争の結果として事業モデルそのものが成立しなくなった企業もある。
後から見るとGoogleやYouTubeやUberだけが目立つが、その裏では同じように制度へ挑戦して消えていった企業も数多い。
共通するパターン
これらの事例に共通するのは、
「明確な違法行為を武器にした」
というより、
「法律や制度が追いついていない領域を先に開拓した」
という点である。
Googleはインターネットを集約した。
YouTubeは動画を集約した。
Uberは移動手段を集約した。
Airbnbは宿泊施設を集約した。
OpenAIは知識を学習・集約している。
インターネット史を振り返ると、
「まず新しい価値を生み出す」
↓
「利用者が集まる」
↓
「権利者や規制当局との衝突が起きる」
↓
「制度が整備される」
という流れが何度も繰り返されている。
現在の生成AIを巡る議論も、その長い歴史の延長線上にあるのかもしれない。