Roleを目指す人より、課題を追う人のほうが強い — 肩書きが先か、問題が先か

Roleを目指す人より、課題を追う人のほうが強い — 肩書きが先か、問題が先か

今まで、「総理大臣になりたい」と言っている人に 3 人会ったことがあります。ここでいう「政治家になりたい人」ではなく、純粋に「総理大臣になりたい」と話していた人たちです。

その 3 人には共通点がありました。誰一人として、日本の課題を具体的に語れなかったのです。少子高齢化をどうするのか、財政はどう考えているのか、教育は、エネルギーは、地方は、安全保障は。そういった話になると、具体的な考えはほとんど出てきませんでした。

一方で、不思議なことに 3 人とも共通していたのは、「人の上に立ちたい」という意識が強く、立場や肩書きを使って人を押さえつけようとする傾向があったことです。

もちろん、これはたまたま私が出会った 3 人の話です。でも、その経験から強く思うようになったことがあります。Role(役割・肩書き)が目的になっている人は危ない。

本来、Role は課題を解決するための手段

総理大臣は、日本という国の課題を解決するためにある Role です。PM はプロジェクトを成功させるための Role、CTO は技術で会社を成長させるための Role、起業家は新しい価値を社会に届けるための Role、と言い換えてもよいでしょう。

どれも、本来は課題が先にあります。だから自然な順番は、「この課題を解決したい」→「そのためには、この Role が必要だ」であって、逆ではありません。順番を逆にすると、肩書きだけが残り、解くべき問題はいつまでも残ったままになります。

課題を追う人は、Role が変わっても困らない

例えば、あるエンジニアがいたとします。仕様が曖昧で開発が毎回止まる。そこで仕様を書き始め、関係者を集め、優先順位を整理するようになりました。

気付けば PM と同じ仕事をしています。でも本人は、「PM になりたかった」わけではありません。開発を前に進めたかっただけです。逆に、もし会社に優秀な PM が入ってきたら、その人は喜んでエンジニアに戻るでしょう。目的は PM であることではなく、プロジェクトを成功させることだからです。

AI 時代は Role の価値が下がる

AI によって、コードが書ける、デザインが作れる、資料が作れる、分析もできる。すると、「私は○○職だから」という境界はどんどん曖昧になります。

重要なのは肩書きではありません。いま目の前にある課題を解決するために、自分は何を担うべきか。 そこだけが問われます。

今日はエンジニア、明日は PM、来月は営業、必要なら経営もする。Role は固定されたアイデンティティではなく、課題を解決するために一時的に担う役割になっていきます。

Role は結果であって、目的ではない

本当に優秀な人は、「○○になりたい」とはあまり言いません。代わりに、「これを実現したい」「この問題を解決したい」と言います。

その結果として、周りから「PM ですね」「CTO ですね」「経営者ですね」と呼ばれるようになるだけです。Role は目指すものではなく、解決したい課題を追い続けた結果として、自然に与えられるものだと思っています。

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