外から見分けられる建物でも、中に入ると廊下は同じ顔をしている

外から見分けられる建物でも、中に入ると廊下は同じ顔をしている

大きな病院は、棟ごとに外壁の色が違います。外来は白、入院棟は淡い茶、研究棟はグレー。外から見ているあいだは、どの棟に向かっているかを間違えません。

中に入ると、廊下は全部同じ顔をしています。同じ幅の廊下、同じ扉、同じ蛍光灯。三階と五階の区別が付きません。

そこで病院は、床の色を階ごとに変えました。壁の腰の帯の色を変えたり、エレベーターホールに別の色を塗ったりもします。立体駐車場が階ごとに果物の絵を描くのも同じ発想です。

外から見分ける印と、中に入ってから見分ける印は、別に用意しないといけません。

三十分たって、手が止まる

ターミナルで動く AI を何体も並べて動かすとき、プロジェクトごとにヘッダーの色を付けておくと九枚が見分けられます。MulmoTerminal はそのための画面で、一マスが一体の AI にあたります。無料で、オープンソースとして公開されています。

一体を拡大します。長い出力を読みたいので。

三十分たって、ふと手が止まります。いま触っているのは、どのプロジェクトだったか。

上端に細い帯があって、そこに色は付いています。でも三十分ずっと画面の中央を見ていたので、視界に入っていませんでした。

拡大すると、面積の比率が変わる

格子で見ているときは、ヘッダーがマスの上の三分の一くらいを占めます。拡大すると、ヘッダーは画面の上端の細い帯になります。視界のほとんどはターミナルの中身です。

色分けが効きません。色が付いている場所を見ていないからです。

病院の外壁と同じ位置にあります。外から見ているあいだだけ効く印です。

中身も染められる

MulmoTerminal では、区別がはっきりしています。ヘッダーやマスの枠の色と、ターミナルの中身の色は別の設定です。

中身のほうは、背景色、文字色、カーソルの色と、ターミナルで昔から使われている十六色を指定できます。

{
  "name": "🌌 van-gogh",
  "headerColor": "#0b1a4a",
  "headerTextColor": "#f2e29b",
  "colors": { "background": "#0a1330", "foreground": "#f2e29b", "cursor": "#f5b301" }
}

枠と中身を揃えると、マス全体が一つの色調になります。これが一番見分けやすい状態で、そして拡大しても効きます。

用意されている配色の上に、部分的に書く

十六色を自分で決めるのは大変です。用意されている配色があります。midnight、nord、daylight、solarized の四つです。

{ "theme": "nord" }

その上に部分的に上書きできます。

{
  "theme": "nord",
  "colors": { "background": "#0a1330" }
}

これで nord のままで背景だけ濃く、ができます。実用的にはこの形が一番使われると思います。プロジェクトごとに変えたいのは、たいてい背景色だけなので。

変えるのは三色で足りる

見分けるという目的なら、これだけです。

背景色は一番面積が大きいので、これだけで区別できます。文字色は、背景を変えたらコントラストを合わせます。カーソルの色は小さいですが、常に動いているので目に入ります。

病院が床と腰の帯だけ塗るのと同じで、面積の大きいところを一つ変えれば足ります。

十六色は触らないほうがいい

ここが大事な注意です。

ターミナルの十六色には、それぞれ意味が付いています。赤がエラー、緑が成功、黄色が警告。ls のフォルダの色、git diff の追加と削除の色もこの十六色です。

これを変えると、道具の出力の意味が変わります。赤を青にすると、エラーが青で出ます。そして自分が青にしたことを、三週間後には忘れています。

見分けるためだけなら三色で足りるので、十六色は残しておくのが安全です。

全部のマスに効かせたいときは、置き場所が違う

よく間違えるところです。プロジェクトの設定に書いた色は、そのプロジェクトのマスだけに効きます。

同じ上書きを全部のマスに効かせたい場合、たとえばカーソルの色を一つに揃えたい場合は、自作の配色の側に書きます。

プロジェクトを見分けたいならプロジェクトの設定。自分の好みを全体に適用したいなら自作の配色。カーソルは常にオレンジがいい、は好みなので後者です。全部のプロジェクトの設定に書いて回るのは間違いです。

通して染めると、こうなる

プロジェクトごとの色分けは、この組み合わせが完成形です。

{
  "name": "acme-api",
  "headerColor": "#0b2545",
  "headerTextColor": "#e6f0ff",
  "badgeColor": "#2563eb",
  "theme": "nord",
  "colors": { "background": "#0a1330" }
}

ヘッダーの帯が紺、名札が青、ターミナルの中身が紺寄りの nord。格子で見ても、拡大しても、同じプロジェクトだと分かります。

作業フォルダには引き継がれる

作業用に切ったフォルダには、中身の色はそのままコピーされます。一方で枠の七色は、一本ごとに色相を12度ずつずらします。

作業フォルダを三本並べると、中身の色は同じなので同じプロジェクトだと分かり、枠の色が少しずつ違うのでどの作業フォルダかも分かります。この二つを同時に成立させるために、項目によって扱いが分けられています。

使ってみる

MulmoTerminal は、次の一行で立ち上がります。ターミナル(Windows なら PowerShell、Mac ならターミナル)を開いて、そのまま貼り付けます。

npx mulmoterminal@latest

ブラウザが開いて http://localhost:34567 が表示されれば成功です。インストールという作業はなく、合わなければ閉じるだけで終わります。止めるときは、打ったターミナルで Ctrl + C を押します。

動かない場合、足りないものは次の二つのどちらかです。

確かめ方 無ければ
Node.js 22.12 以上 node -v nodejs.org/ja/download の LTS。入れたらターミナルを閉じて開き直す
Claude Code claude --version macOS は curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash、Windows は irm https://claude.ai/install.ps1 | iex。そのあと claude でログイン

Claude Code は、AI をターミナルから使うためのコマンドです。使うには Claude の有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)か API のアカウントが必要で、無料プランには含まれていません。MulmoTerminal 自体は無料で、AI の使用量はその契約から引かれます。

書ける場所が二つあるので、先に決めます。

やりたいこと 書く場所
プロジェクトごとに見分けたい そのプロジェクトの .mulmoterminal.json
好みを全部のマスに揃えたい 自作の配色の term

この記事は見分ける話なので、プロジェクトごとに書きます。

書く場所は、そのプロジェクトのフォルダの一番上に置く .mulmoterminal.json です。無ければ作ります。

{
  "theme": "nord",
  "colors": { "background": "#0a1330" }
}

AI にファイルを書かせたときは即座に効きます。エディタで手で書いたときは、タブを再読み込みします。

全部のマスに効かせたいときは、~/.mulmoterminal/config.json に自分の配色を作って、その中の term に書きます。

{
  "themes": [
    { "id": "mine", "label": "自分の配色", "term": { "cursor": "#f5b301" } }
  ]
}

書いたらアプリを再起動して、設定画面の配色の一覧から選びます。既存の設定がある場合は、置き換えずに足します。ファイル全体は一つの { } です。

確かめるときは、見比べるのが早いです。二つのプロジェクトのマスを立てて、片方だけに設定を書きます。格子のまま見ると、どちらもヘッダーの色で見分けられます。設定を書いたほうを拡大すると、画面いっぱいに中身の色が出ます。書いていないほうを拡大すると、中身は既定の色のままで、上端の細い帯にしか色がありません。

その差が、この設定が効いている分です。三十分集中したあとにどのプロジェクトだったかを思い出せるのは、前者のほうです。

そして ls の色分けが今までどおりなら、十六色は触れていません。そこは触らないのが安全です。

やめるときは、.mulmoterminal.json からその項目を消せば戻ります。ファイルごと消してもかまいません。

まとめ

棟ごとに外壁の色を変えても、中に入ると廊下は同じ顔をしています。だから病院は床の色を階ごとに変えました。外から見分ける印と、中に入ってから見分ける印は別に用意しないといけません。

ヘッダーの色は、格子を見ているあいだだけ効く印です。拡大すると上端の細い帯になって視界から外れます。

MulmoTerminal はターミナルの中身も染められます。変えるのは背景、文字、カーソルの三色で足ります。十六色には意味が付いているので、触らないほうが安全です。

この記事をシェア

関連記事

記事一覧に戻る