起業時の株式の配分について

チームで会社創業するときに、どのように株式を持つか?というのは起業にまつわる永遠の悩みです。

3人(エンジニア、PM兼エンジニア、ビジネス)で会社を立ち上げる場合を例に、どのような点に気をつければよいか解説します。

創業者間の株の持分の配分は、インセンティブの面でも、企業統治の面でもとても重要なので、慎重に決める必要があります。

基本的には、「誰がどんな価値を会社に提供するのか」で持分を決めるべきですが、「すでに持っているもの」と「これから提供するもの」を比べた場合、前者に重きをおくべきです。特に、会社の設立にとって欠くことが出来ない、製品や特許には重きを置くべきです。

例えば、「既に顧客にデモができる程度のプロトタイプ」を持っているエンジニアと、「顧客に強いチャンネルを持っている」ビジネスマンを比べた場合、前者の方が価値が高いと考えて当然です。その比率を 1.2:1 にするのか 2:1 にするのか、に関しては、エンジニア側が、どのくらいビジネスマンの存在に必要性を感じているかで決めるべきです。

そう考えると「相談して決める」のではなく、製品や特許を持っているエンジニアが主人公となって、「えいやっ」と決めた持分(例えば、エンジニア:PM兼エンジニア:ビジネス = 3:2:1)を提案し、それをベースに、他の人に了承してもらう、もしくは、交渉して落とし所を見つける、のが良いと思います。

力関係によっては、一人が100%の株を持ち、他のメンバーにはストックオプションを発行する、という方法もありますが、「3人で会社を立ち上げようとしている」場合には、当てはまりません。

また、創業メンバー間での契約書を作るときに、考えておかなければならないのは、途中で意見の相違などで、誰かが抜けた場合に、その人の株をどう扱うか、です。企業の運営に関わらずに、株だけ持っている人がいることは、色々な意味でマイナスなので、そこをどう扱うかも、あらかじめ決めておく必要があります。何らかの仕組みで決めた株価で、会社側(もしくは別の創業メンバー)が買い戻すことが出来るような契約書を作っておくのも悪くありません。

ちなみに、創業時に出せる出資額で会社の持分を決めるやり方は、企業間で作るジョイント・ベンチャーには適していますが、個人間では適していないので、お勧めしません。創業メンバーのうち、一人だけが出資金を出せる場合には、その分は、借金として計上しておき、VCなどから資金を調達した際に、優先株に変換するなどの手法を使うと、そのあたりがスッキリとします。