自分のこだわりに合うアプリは、この世に存在しない

自分のこだわりに合うアプリは、この世に存在しない

恵比寿の、路地を入ったところにあるタイ料理屋。

誰と行ったかは覚えていますし、料理の写真も残っています。でも店名が出てきません。

スマホのメモを遡ると、三週間前のところに一行だけ書いてありました。買い物リストと、打ち合わせの議事録のあいだに挟まって。

こういう店が、たぶん十軒くらいあります。

行った店を記録するアプリを入れてみたことはあります。使わなくなった理由もはっきりしていて、「誰と行ったか」の欄が無かったからです。自分にとってはそこが一番大事なのに。

備考欄に書けばいい、と言われそうですが、そうすると検索も並べ替えもできない文字列になります。表計算に移したら移したで、三回で止まりました。開いて、行を足して、十列埋めるのが面倒で。

既製のアプリが自分に合わないのは当たり前

これはアプリの出来が悪いという話ではありません。多くの人に使ってもらうために、最大公約数で作られているからです。個人のこだわりは、定義上そこに入りません。

だから昔から、答えはひとつでした。自分で作る。

ただしそれは、プログラムを書けることを意味していました。書ける人にとっても、行きたい店のリストのために1本アプリを作るのは、割に合う話ではありませんでした。項目を決めて、保存する場所を用意して、入力画面を作って、一覧を作って、あとで項目を足したくなったら全部直す。リストの価値に対して、作業が重すぎます。

結果として、ほとんどの人は諦めてきました。メモアプリのどこかに書いて、探すたびに見つからない。

文章で頼んで作ってもらう

ここ数年で、この前提が変わりました。AI に文章で頼むと、プログラムを書かずにアプリが作れるようになっています。

MulmoClaude は、そのための道具です。パソコンに入れて、ブラウザで開いて使います。無料で、オープンソースとして公開されています。

画面には AI との会話欄があります。そこにこう打ちます。

行ってみたいお店をためておきたい。店名とジャンルと場所と、行ったかどうか。

これだけで、必要な項目が決まり、入力する画面と一覧の表ができます。どの項目をどんな種類にするか、画面をどう並べるかは指定していません。日本語で伝えただけです。

こうしてできた自分専用の小さなアプリを、MulmoClaude ではコレクションと呼んでいます。

あとから項目を足せる

作ったあとで足りないものが出てくるのは、むしろ普通です。

予算の欄も足して
行った日も記録したい
誰と行ったかも

こう伝えると足されます。すでに入れたデータは残り、足した項目が空のまま混ざるだけです。

表計算で列を挿入する操作を覚える必要はありませんし、作り直しにもなりません。最初から完璧にしようとしなくていい、というのがここでの効き目です。冒頭の「項目がひとつ足りない」は、足せば終わりになります。

何が向いているか

「管理するほどではないが、覚えておきたい」ものが向いています。

行きたいお店、見た映画、読みたい本、覚えたい単語、聴きたい Podcast。買いたいもの、参考になった記事、行った旅行先、試したいレシピ。

共通しているのは3つです。項目が決まっていること。数が増えていくこと。あとから探したくなること。

この3つが揃っているのに表計算を開いていないものが、だいたい候補になります。

逆に向いていないものもあります。日記や議事録のような文章そのものは、項目に分かれないので普通のメモで足ります。一度書いて読み返さないものも、置き場所を作る意味がありません。

入力も会話でできる

入力画面を開かなくてもいい場面があります。

さっき行った恵比寿のタイ料理、名前は○○。行った日は今日で、評価は4。

こう伝えると、AI が該当する項目に振り分けて入れます。

画面を開いて項目を順に埋める、という作業が要らないので、書き留めるときの手間がメモアプリと変わりません。そして置き場所が決まっているので、3週間後に探すと見つかります。

自分のパソコンの中だけで動く

コレクションに入れた記録は、パソコンの中の ~/mulmoclaude/ というフォルダに、素のファイルとして置かれます。

どこかのサービスに預けているわけではないので、公開されることはありません。MulmoClaude を消してもフォルダは残りますし、テキストエディタで開けます。バックアップも他のフォルダと同じように取れます。

作るのを間違えても誰にも影響しない、というのは、最初の1本を作るときには効いてきます。

使ってみる

MulmoClaude は、次の1行を打つと立ち上がります。ターミナル(Windows なら PowerShell、Mac ならターミナル)を開いて、そのまま貼り付けます。

npx mulmoclaude@latest

ブラウザが開いて http://localhost:3001 が表示されれば成功です。インストールという作業はなく、合わなければ閉じるだけで終わります。

ターミナルを開かずに使いたい場合は、一度だけ次を実行するとアイコンができます。

npx mulmoclaude@latest create-shortcut

動かない場合、足りないものは次の2つのどちらかです。

確かめ方 無い場合
Node.js 22.19 以上 node -v nodejs.org/ja/download の LTS を入れ、ターミナルを開き直す
Claude Code claude --version macOS は curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash、Windows は irm https://claude.ai/install.ps1 | iex。そのあと claude でログイン

Claude Code は、AI(Anthropic の Claude)をターミナルから使うためのコマンドです。MulmoClaude はこれを裏側で呼んでいます。使うには Claude の有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)か API のアカウントが必要で、無料プランには含まれていません。MulmoClaude 自体は無料で、AI の使用量はその契約から引かれます。

立ち上がったら、会話欄に管理したいことを打ちます。

行ってみたいお店をためておきたい。店名とジャンルと場所と、行ったかどうか。

Collections という場所に新しいものが増えていれば成功です。開いて1行入れてみて、表に出れば動いています。

まとめ

既製のアプリが自分のこだわりに合わないのは、最大公約数で作られているからで、これは直りません。自分で作るという答えは昔からありましたが、プログラムを書く必要があり、リストの価値に対して重すぎました。

MulmoClaude のコレクションでは、管理したいことを文章で伝えるだけで、項目と画面ができます。あとから項目を足しても、入れたデータは残ります。

記録は自分のパソコンの中に素のファイルとして置かれるので、公開されることも、サービス終了で行き場を失うこともありません。

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