球場で点が入ると、外野のスコアボードの数字が変わります。
そのとき、場内アナウンスが今の得点を反映しましたので掲示を見直してくださいと言うことはありません。言う必要がないのは、数字が変わったこと自体が全員の目に同時に入るからです。
三万人に個別に知らせる方法を考えると難しくなりますが、全員が同じ一枚を見ているなら、その一枚を書き換えるだけで済みます。駅の発車標も、証券取引所の板も、同じ考え方でできています。
大勢に同じことを伝えるときは、伝えるのではなく、同じものを見せて書き換えます。
四十人に再読み込みを頼めない
勉強会の最後に次はどのテーマを扱いましょうかと聞いて、手を挙げてもらう。やってみると、うまくいきません。
数えるのが大変で、匿名にできず、終わったあとに何も残りません。だいたい半々でしたしか覚えていない。
投票のページを AI に作らせれば解決しそうです。ただし、一つ条件があります。
投票した結果を見せるとき、画面を更新してくださいと言ったら終わりです。壇上から四十人に向かって言うことになりますし、言ったところで全員が同じタイミングで押すわけではありません。そのあいだ黙って待つことになります。
票が入った瞬間に、全員の画面のグラフが伸びる。これができて初めて、壇上から使える道具になります。
MulmoTerminal は AI に頼んで作業させるための画面で、npx の一行で立ち上げてブラウザで開きます。道具自体は無料で、AI の使用量は自分の契約から引かれます。そこで作れる共有アプリは、リンクで人に渡せるアプリで、フォルダ一つがアプリ一つです。公開したあとは自分のパソコンが経路に入りません。
自分で作るとここが難しい
投票を集めて結果を出すページは、AI に頼めば作れます。
でも作られたものは、たいてい開いたときの結果を見せるだけです。あとで変わったら、再読み込みすれば新しい結果が見えます。そのほうが普通の作りなので、言わないとそうなります。
言うべきことは一つです。
結果をその場でグラフに出したい
その場でが入っていれば、見ている間に動く形になります。
集めるのが目的か、見せるのが目的か
同じ選択肢から選んでもらうでも、これで形が変わります。
あとで読むなら、アンケートの形です。満足度調査や要望の収集がこちら。その場で見せるなら、この記事の形です。集まる様子そのものが目的なので、動かないと意味がありません。
頼むときにアンケートと言うか、その場で結果を出したいと言うかで、できるものが変わります。
当日の段取りを先に決めておく
ここが一番の不安の答えになると思います。本番で動かなかったらどうするのかは、段取りで消せます。
前日までに作って公開しておきます。当日に作ろうとして会場の Wi-Fi が不安定だったら、それで終わりです。
リンクを短くするか QR にします。壇上から長い URL を読み上げるのは無理です。
自分は結果を映す画面を開いておきます。投影する画面と、自分が操作する画面は別に持ちます。
そして開始前に自分で一票入れて、グラフが動くのを見ます。これが一番大事です。本番で初めて動かすのは避けたい。
公開前に、公開サイトと同じものを動かせる
作ったページは、手元で確かめられます。公開サイトと同じコードが動くので、本番より甘くはなりません。
データが出ているか。読み込み中で止まっていたら、まだ繋がっていません。送信すると確認が出て、入っている値が正しいか。入れてはいけないものが断られるか。仕上がって見えるか。
壇上で使うものなので、一つ目と四つ目がとくに重要です。読み込み中のまま止まった画面を投影するのは、避けたい。
この形は、自動チェックが一番届きにくい
AI にページを動かさせて確かめることもできます。本物のブラウザで全ページを読み込んで、ボタンらしきものを押してくれます。
ただし、正直な限界があります。押すのはボタンなので、チェックボックスや選択リストに保存がぶら下がっているページは、その経路が一度も走りません。しかも報告にはそう書かれません。
投票のページは、まさに選択肢を選ぶページです。六ページ確認、問題なしと返ってきても、投票する経路は一度も通っていない可能性があります。
自分で押してみるのが必須です。この形については、自動チェックを通したことを確認したと読まないほうがいいです。
分岐する投票はできない
共有アプリは、サーバーで自分のコードを動かしません。
だから、票を集計して結果によって次の質問を変えるようなことはできません。複数の質問を順に出したいなら、質問ごとに投票を作って、順に開く形になります。
実際にはこれで十分使えます。
終わったあとに残る
挙手と違って、結果が残ります。三月の勉強会では次のテーマとして A が多かったが読み返せます。
次の回を決めるときに、記憶ではなく記録から決められる。
挙手をやめる本当の理由は、数えるのが面倒だからではなく、ここだと思います。スコアボードも、試合が終わったあとに一覧が残ります。
使ってみる
MulmoTerminal は、次の一行で立ち上がります。ターミナル(Windows なら PowerShell、Mac ならターミナル)を開いて、そのまま貼り付けます。
npx mulmoterminal@latest
ブラウザが開いて http://localhost:34567 が表示されれば成功です。インストールという作業はありません。npx はその場で取ってきて動かすだけなので、合わなければ閉じるだけで終わります。止めるときは、打ったターミナルで Ctrl + C を押します。そのターミナルが分からなくなったら npx mulmoterminal@latest stop です。
動かない場合、足りないものは次の二つのどちらかです。
| 確かめ方 | 無ければ | |
|---|---|---|
| Node.js 22.12 以上 | node -v |
nodejs.org/ja/download の LTS。入れたらターミナルを閉じて開き直す |
| Claude Code | claude --version |
macOS は curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash、Windows は irm https://claude.ai/install.ps1 | iex。そのあと claude でログイン |
Claude Code は、AI をターミナルから使うためのコマンドです。使うには Claude の有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)か API のアカウントが必要で、無料プランには含まれていません。MulmoTerminal 自体は無料で、AI の使用量はその契約から引かれます。
新しい空のフォルダを一つ作ります。デスクトップでいいです。名前は何でもかまいません。
MulmoTerminal の空いているマスをクリックして、上のタブで Claude を選び、WORKING DIRECTORY にそのフォルダのパスを入れて、右の再生ボタンを押します。

開いた画面に、欲しいものを普通の言葉で打ちます。
勉強会の最後に取る投票。「次に扱ってほしいテーマ」を3つの選択肢から選んでもらって、 結果をその場でグラフに出したい。
その場でが入っていれば、見ている間に動く形になります。
公開する前に自分で見ます。そのマスでコレクションのパネルを開いて、ヘッダーの Previews を押すと、公開サイトと同じものが動きます。
そこで四つ確かめます。データが出ているか。読み込み中で止まっていないか。送信すると確認が出て、入っている値が正しいか。わざと変な値を入れて、断られるか。そして仕上がって見えるか。
よければ公開してと頼みます。リンクが返ってきます。
結果の画面を開いたまま、別の端末から一票入れます。手元の画面が再読み込みなしで動けば成功です。本番の前に必ずこれをやってください。
外に出したくないものなら、公開ページは作らないでと先に言っておきます。そうすると、名簿に載せた人しか開けません。
やめたくなったら、同じマスでこのアプリの公開をやめてと頼みます。リンクが開けなくなります。集まったデータを消すなら、レコードを全部消してと頼みます。消すと戻らないので、先に画面で中身を見て、必要なら書き出してから頼んでください。
まとめ
球場のスコアボードは、全員に見直してくれと頼みません。同じ一枚を見ているので、書き換えるだけで済みます。
壇上から四十人に再読み込みを頼めないのも同じ話です。票が入った瞬間に全員の画面が動かないと、その場で見せる意味がありません。
AI に頼むときは、結果をその場でグラフに出したいと言います。そしてこの形は自動チェックが一番届きにくいので、投票する経路は自分で押して確かめます。
