レシピを読んでいるあいだは全部分かるが、台所に立つと最初の一行で止まる

レシピを読んでいるあいだは全部分かるが、台所に立つと最初の一行で止まる

レシピを読んでいるあいだは、全部分かります。

玉ねぎをみじん切りにして、しんなりするまで炒める。読めば分かりますし、想像もできます。作れそうな気もします。

台所に立つと、最初の一行で止まります。玉ねぎを買っていません。買ってあったとしても、みじん切りというのが自分の手でどのくらいの細かさなのか分かりません。しんなりは何分なのか、火加減はどれなのか。

読んで分かったことと、手が動くことのあいだには、思っているより距離があります。だから料理教室は、見学ではなく実習の形をしています。一度通して作ると、次からレシピが読めるようになります。

通しで一度やる

AI に頼めば作れると聞いても、自分が実際に何をするのかは分かりません。

ここでは一番多い用件を、端から端まで一度だけ通します。十月の勉強会。椅子は三十脚。誰が来るのかを知りたい。

MulmoTerminal は AI に頼んで作業させるための画面で、npx の一行で立ち上げてブラウザで開きます。道具自体は無料で、AI の使用量は自分の契約から引かれます。そこで作れる共有アプリは、リンクで人に渡せるアプリです。

空のフォルダを作って、そこで頼む

デスクトップに benkyoukai-10gatsu のようなフォルダを作ります。

MulmoTerminal の画面で、空いているマスにそのフォルダを指定して起動します。そこで AI に、こう言います。

10月の勉強会の申し込み。30席。名前とメールと、来られない場合に録画が欲しいかどうか。 30人埋まったらキャンセル待ちに回して。

打ち込むのはこれだけです。

三十席とキャンセル待ちが入っていれば、定員つきで待ち行列がある形が選ばれます。形の名前を言う必要はありません。

何ができたか、自分の目で確かめられる

しばらくすると、フォルダの中に、設計を書いたファイルが一枚と、申し込みを入れる置き場所と、ページができます。設計のファイルには、何を聞くかとどう見せるかが書かれています。

ここで一つ、不安が消える部分があります。秘密は何も入っていません。

正確に言うと、自分で書き込まない限り入りません。API の鍵のようなものをここに書くと、公開したときに一緒に出ます。そういうものは、そもそもこの作りでは要りません。

設計のファイルは普通のテキストなので、開いて読めます。名前、メール、録画希望という項目があって、三十席で、待ち行列がある。そう書いてあるだけです。

自分が何を公開しようとしているのか、自分で説明できる状態になります。

三つの住所ができる

同じアプリに、別々の入口が三つあります。

誰が 何が見えるか
リンクを送られた人 フォーム。送ると12番の席が取れましたか、キャンセル待ち3番です
あなた 全部の行。人数。待っている人
申し込んだ人が水曜に来たとき 自分の行だけ

三行目が、普通のフォームには無い状態です。

これを決めているのはページのコードではありません。他人の行は、参加者のページに届いていません。

自分が読み切っていないコードに十人のメールアドレスが通るという不安は、ここでは当たりません。ページが間違っていても漏れない部分になっています。

人数が狂わない理由

自分でフォームを作ると、三十一人目が入ります。今何件あるか数えて三十件未満なら受け付けるという作りだと、二人が同時に押したときに両方が二十九件を見るからです。

この形では数えていません。送信した人に返るのは件数ではなく番号で、配っているのはページの下にあるものです。同じ番号を二人に渡さないので、三十一席目は出ません。

公開する前に、自分で四つ見る

ここが一番飛ばしたくない手順です。

作ったページは、公開する前に手元で開けます。公開サイトと同じコードが動くので、本番より甘くはなりません。

データが出ているか。読み込み中で止まっていたら、まだ繋がっていません。

送信すると確認が出て、入っている値が正しいか。メールの欄に書いたものが名前として送られていないか。これは動いてしまうので、確認を見ないと気づけません。

入れてはいけないものが断られるか。メールの欄に日本語を一文字書いて送ってみる。名前を空にして送ってみる。正しく入れたら動くだけ確かめても足りません。

仕上がって見えるか。これは品質の話ではなく、使われるかどうかの話です。素っ気ない見た目のフォームは簡素ではなく未完成に見えて、人は閉じます。

料理の味見にあたる段です。出す前に一口食べます。

公開する

押した瞬間に効きます。

一つ知っておくことがあります。公開ページがある場合は、押した瞬間から知らない人の前にあります。リンクを誰にも送っていなくても、住所を知られれば開けます。

これが、前の段を先にやる理由です。最初に開いた人が壊れたページを見たら、その人は戻ってきません。

なお、社内の出欠のように外に出したくないものなら、公開ページを作らない形も選べます。その場合は名簿に載せた人しか開けません。

ノートを閉じる

告知を出して、パソコンを閉じます。申し込みは進みます。

アプリは自分のパソコンが配信しているのではなく、公開済みのものが動いているので、寝ているあいだも番号が配られます。

フォルダは、それを編集するための原本として手元に残ります。

十一月のを作る

同じフォルダを開いて、変わったところだけ言います。十一月、四十席。

去年のフォームをコピーして、日付を直したか、定員を直したか、去年の会場名が残っていないかを目で追う作業は要りません。設計はファイルなので、どこが変わったかが機械的に出ます。

直すときに別のところを壊さないかは、それを見れば確かめられます。

通しで見ると

空のフォルダを作る
  ↓ 欲しいものを普通の言葉で言う
フォルダと三つの住所ができる(中身は自分で読める)
  ↓ 手元で四つ確かめる
公開する(押した瞬間から開かれる)
  ↓ パソコンは経路に入らない
申し込みが進む(寝ていても)
  ↓ 変更点だけ言う
来月のができる(差分が読める)

八手あるうち、キーボードを打つのは最初と最後だけです。残りは確かめる作業と、押す作業になります。

使ってみる

MulmoTerminal は、次の一行で立ち上がります。ターミナル(Windows なら PowerShell、Mac ならターミナル)を開いて、そのまま貼り付けます。

npx mulmoterminal@latest

ブラウザが開いて http://localhost:34567 が表示されれば成功です。インストールという作業はありません。npx はその場で取ってきて動かすだけなので、合わなければ閉じるだけで終わります。止めるときは、打ったターミナルで Ctrl + C を押します。そのターミナルが分からなくなったら npx mulmoterminal@latest stop です。

動かない場合、足りないものは次の二つのどちらかです。

確かめ方 無ければ
Node.js 22.12 以上 node -v nodejs.org/ja/download の LTS。入れたらターミナルを閉じて開き直す
Claude Code claude --version macOS は curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash、Windows は irm https://claude.ai/install.ps1 | iex。そのあと claude でログイン

Claude Code は、AI をターミナルから使うためのコマンドです。使うには Claude の有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)か API のアカウントが必要で、無料プランには含まれていません。MulmoTerminal 自体は無料で、AI の使用量はその契約から引かれます。

新しい空のフォルダを一つ作ります。デスクトップでいいです。名前は何でもかまいません。

MulmoTerminal の空いているマスをクリックして、上のタブで Claude を選び、WORKING DIRECTORY にそのフォルダのパスを入れて、右の再生ボタンを押します。

起動フォーム。上のタブで Claude を選び、WORKING DIRECTORY にフォルダのパスを入れて、右の再生ボタンを押す

開いた画面に、欲しいものを普通の言葉で打ちます。

10月の勉強会の申し込み。30席。名前とメールと、来られない場合に録画が欲しいかどうか。 30人埋まったらキャンセル待ちに回して。

公開する前に自分で見ます。そのマスでコレクションのパネルを開いて、ヘッダーの Previews を押すと、公開サイトと同じものが動きます。

そこで上の四つを確かめます。データが出ているか、送信の確認の値が正しいか、変な値が断られるか、仕上がって見えるか。

よければ公開してと頼みます。リンクが返ってきます。

公開ページのリンクを自分のスマホで開いて一件申し込み、一番の席が取れましたと出れば成功です。

外に出したくないものなら、公開ページは作らないでと先に言っておきます。そうすると、名簿に載せた人しか開けません。

やめたくなったら、同じマスでこのアプリの公開をやめてと頼みます。リンクが開けなくなります。集まったデータを消すなら、レコードを全部消してと頼みます。消すと戻らないので、先に画面で中身を見て、必要なら書き出してから頼んでください。

まとめ

レシピを読んでいるあいだは分かりますが、台所に立つと最初の一行で止まります。だから料理教室は実習の形をしています。

一度通すと、八手のうちキーボードを打つのは最初と最後だけだと分かります。残りは確かめる作業と、押す作業です。

飛ばしたくないのは公開の直前で、手元で四つ見る段です。公開は押した瞬間に効いて、最初に開いた人が壊れたページを見たら戻ってきません。

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