AI に作らせたものを、初めて人に公開するとき。何から始めるかで、その後の印象が大きく変わります。
うまくいけば「これは使える」になりますが、最初の一本で人数が合わなかったり二重に登録されたりすると、「AI に作らせたものは信用できない」という結論になります。
一本目に向いているのは、壊れようがないものです。アンケート、クイズ、応募フォーム、定員のない申し込み。誰かが送信しても、他の人にできることが何も変わらないものです。
MulmoTerminal は AI に頼んで作業させるための画面で、npx の一行で立ち上げてブラウザで開きます。道具自体は無料で、AI の使用量は自分の契約から引かれます。そこで作れる共有アプリは、リンクで人に渡せるアプリで、フォルダ一つがアプリ一つになります。公開したあとは自分のパソコンが経路に入りません。
壊れるところが無いものから始める
アンケート、クイズ、応募フォーム、定員のない申し込み。これらは作るのが簡単なだけでなく、壊れようがありません。理由は一つで、誰かが送信しても他の人にできることが何も変わらないからです。
アンケートは何人答えても足りなくなりません。クイズは何人解いても問題が減りません。定員のない申し込みは、席が埋まりません。
だから、二人が同じ秒に送信ボタンを押したときに考えることがありません。両方受け付けて、両方入る。それが正解です。
逆に、有限な枠が一つ入ると
席が三十ある申し込みを考えると、扱うことが一気に増えます。
二人が同時に押したとき、どちらが二十九番目でどちらが三十番目か。三十一人目に何を返すか。キャンセルが出たら待っている人を繰り上げるか。繰り上げたことをその人にどう伝えるか。
どれも数が有限だから出てくる問題です。
これが、AI に作らせたものが壊れる典型的な場所でもあります。「今何件あるか数えて三十件未満なら受け付ける」という素直な作りは、数えてから書くまでの間に他人が入れるので、必ず定員を超えます。
最初の一本は、この問題が存在しないものにします。
頼み方
項目を設計する必要はありません。
社内勉強会の満足度アンケート。 5段階の評価と、良かった点、改善してほしい点。 あと次に聞きたいテーマを自由に書ける欄。
「5段階」と言えば選択式になり、「自由に書ける」と言えば文章の欄になります。入力の種類を指定する言葉を覚える必要はありません。
匿名にしたいなら、そう言えばそうなります。
答えた人が、あとから自分の回答を見られる
普通のフォームだと、送信したら終わりです。共有アプリでは、答えた人が後から開くと自分の回答だけが見えます。他の人の回答は見えません。
これができると、「何と書いたか忘れた」に答えられますし、「書き直したい」にも答えられます。意外に効くところです。
他人の回答が見えないのは、ページのコードが絞っているからではありません。そもそもページに届いていないので、コードを読み返して確かめる必要がない部分です。
公開が怖いなら、公開ページを作らない
社内アンケートなら、これが素直です。公開ページを作らなければ、名簿に載せた人しか開けません。リンクを知られても開けません。
公開ページを作った場合は、押した瞬間から知らない人の前に出ます。社外に出すものだけそうする、という使い分けになります。
項目はあとから足せる
一本目で完璧にしなくていい、というのも安心できるところです。「所属部署も聞くようにして」と言えば足されます。
すでに集まった回答は残って、足した項目が空の行が混ざるだけです。表計算に列を足すのと同じ感覚で、やり直しにはなりません。
二本目に進むときの判断
一本目が問題なく回ったら、次に考えることは一つです。有限な枠があるか。
席が三十ある、部屋が三つある、貸出機が二台ある、担当者が承認する。このどれかが入ったら、集めるだけでは足りません。
足りない部分を自分で書こうとせず、「三十席」「キャンセル待ち」「承認」と言って、その扱いを持っている形を選ぶのが正解です。言い方が変わるだけで、選ばれる形が変わります。自分で同時送信の扱いを書くことにはなりません。
使ってみる
MulmoTerminal は、次の一行で立ち上がります。ターミナル(Windows なら PowerShell、Mac ならターミナル)を開いて、そのまま貼り付けます。
npx mulmoterminal@latest
ブラウザが開いて http://localhost:34567 が表示されれば成功です。インストールという作業はありません。npx はその場で取ってきて動かすだけなので、合わなければ閉じるだけで終わります。止めるときは、打ったターミナルで Ctrl + C を押します。そのターミナルが分からなくなったら npx mulmoterminal@latest stop を使います。
動かない場合、足りないものは次の二つのどちらかです。
| 確かめ方 | 無ければ | |
|---|---|---|
| Node.js 22.12 以上 | node -v |
nodejs.org/ja/download の LTS。入れたらターミナルを閉じて開き直す |
| Claude Code | claude --version |
macOS は curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash、Windows は irm https://claude.ai/install.ps1 | iex。そのあと claude でログイン |
Claude Code は、AI をターミナルから使うためのコマンドです。使うには Claude の有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)か API のアカウントが必要で、無料プランには含まれていません。MulmoTerminal 自体は無料で、AI の使用量はその契約から引かれます。
新しい空のフォルダを一つ作ります。デスクトップでかまいません。名前も何でもかまいません。
MulmoTerminal の空いているマスをクリックして、上のタブで Claude を選び、WORKING DIRECTORY にそのフォルダのパスを入れて、右の再生ボタンを押します。

開いた画面に、欲しいものを普通の言葉で打ちます。
社内勉強会の満足度アンケート。5段階の評価と、良かった点、改善してほしい点。 あと次に聞きたいテーマを自由に書ける欄。
定員やキャンセル待ちの話は入れません。そこが「壊れようがない」の条件です。
公開する前に自分で見ます。そのマスでコレクションのパネルを開いて、ヘッダーの Previews を押すと、公開サイトと同じものが動きます。
そこで四つ確かめます。データが出ているか。読み込み中で止まっていないか。送信すると確認が出て、入っている値が正しいか。わざと変な値を入れて断られるか。そして仕上がって見えるか。
よければ「公開して」と頼みます。リンクが返ってきます。
自分で一件答えて、同じリンクをもう一度開きます。自分の回答だけが出れば成功です。
外に出したくないものなら、「公開ページは作らないで」と先に言っておきます。そうすると、名簿に載せた人しか開けません。
やめたくなったら、同じマスで「このアプリの公開をやめて」と頼みます。リンクが開けなくなります。集まったデータを消すなら、「レコードを全部消して」と頼みます。消すと戻らないので、先に画面で中身を見て、必要なら書き出してから頼んでください。フォルダごと捨てるのは、公開を取り消したあとなら削除するだけです。
まとめ
初めて公開するものは、誰かが送信しても他の人にできることが変わらないものにします。アンケート、クイズ、定員のない申し込み。同時に押されたときに考えることがありません。
二本目で有限な枠を扱うときは、自分で書こうとせず、「三十席」や「キャンセル待ち」と言って、その扱いを持っている形を選びます。
