試食の行列と、限定品の行列は別のものだった

試食の行列と、限定品の行列は別のものだった

デパートの地下で、試食の前に人が並んでいます。順番に一つずつ取って、食べて、通り過ぎていきます。

同じ売り場で、正月の限定の福袋にも行列ができます。見た目は似ています。人が縦に並んで、前から順に進む。

ただ、後者には整理券があって係員が立っています。前者には、どちらもありません。

違いは一つです。試食は何人来ても配れます。数が足りなくなったら、その日はそこで終わりで、誰も損をしません。福袋は百個です。だから並んだ順番が意味を持って、百一人目に何を言うかを決めておく必要があり、途中で割り込まれると揉めます。

有限なものが一つ入った瞬間に、行列は別の仕事になります。

一本目で印象が決まる

AI に作らせたものを、初めて人に公開するとき。何から始めるかで、その後の印象がだいぶ変わります。

うまくいけばこれは使えるになりますが、最初の一本で人数が合わなかったり、二重に登録されたりすると、AI に作らせたものは信用できないという結論になります。

MulmoTerminal は AI に頼んで作業させるための画面で、npx の一行で立ち上げてブラウザで開きます。道具自体は無料で、AI の使用量は自分の契約から引かれます。そこで作れる共有アプリは、リンクで人に渡せるアプリで、フォルダ一つがアプリ一つです。公開したあとは自分のパソコンが経路に入りません。

一本目に向いているものがあります。

壊れるところが無いものから始める

アンケート、クイズ、応募フォーム、定員のない申し込み。

これらは作るのが簡単なだけでなく、壊れようがありません。理由は一つで、誰かが送信しても他の人にできることが何も変わらないからです。

アンケートは何人答えても足りなくなりません。クイズは何人解いても問題が減りません。定員のない申し込みは、席が埋まりません。

だから、二人が同じ秒に送信ボタンを押したときに考えることがありません。両方受け付けて、両方入る。それが正解です。

試食の行列のほうです。

逆に、有限なものが一つ入ると

席が三十ある申し込みを考えると、扱うことが一気に増えます。

二人が同時に押したとき、どちらが二十九番目でどちらが三十番目か。三十一人目に何を返すか。キャンセルが出たら待っている人を繰り上げるか。繰り上げたことをその人にどう伝えるか。

どれも数が有限だから出てくる問題です。そして整理券と係員が必要になる理由でもあります。

これが、AI に作らせたものが壊れる典型的な場所でもあります。今何件あるか数えて三十件未満なら受け付けるという素直な作りは、数えてから書くまでのあいだに他人が入れるので、必ず定員を超えます。

最初の一本は、この問題が存在しないものにします。

頼み方

項目を設計する必要はありません。

社内勉強会の満足度アンケート。 5段階の評価と、良かった点、改善してほしい点。 あと次に聞きたいテーマを自由に書ける欄。

五段階と言えば選択式になり、自由に書けると言えば文章の欄になります。入力の種類を指定する言葉を覚える必要はありません。

匿名にしたいなら、そう言えばそうなります。

答えた人が、あとから自分の回答を見られる

普通のフォームだと、送信したら終わりです。共有アプリでは、答えた人が後から開くと自分の回答だけが見えます。他の人の回答は見えません。

これができると、何と書いたか忘れたに答えられますし、書き直したいにも答えられます。意外に効くところです。

他人の回答が見えないのは、ページのコードが絞っているからではありません。そもそも届いていないので、コードを読み返して確かめる必要がない部分です。

公開が怖いなら、公開ページを作らない

社内アンケートなら、これが素直です。公開ページを作らなければ、名簿に載せた人しか開けません。リンクを知られても開けません。

公開ページを作った場合は、押した瞬間から知らない人の前にあります。社外に出すものだけそうする、という使い分けになります。

項目はあとから足せる

一本目で完璧にしなくていい、というのも安心できるところです。所属部署も聞くようにしてと言えば足されます。

すでに集まった回答は残って、足した項目が空の行が混ざるだけです。表計算に列を足すのと同じ感覚で、やり直しになりません。

二本目に進むときの判断

一本目が問題なく回ったら、次に考えることは一つです。有限なものがあるか。

席が三十ある、部屋が三つある、貸出機が二台ある、担当者が承認する。このどれかが入ったら、集めるだけでは足りません。

足りない部分を自分で書こうとせず、三十席、キャンセル待ち、承認と言って、その扱いを持っている形を選ぶのが正解です。言い方が変わるだけで、選ばれる形が変わります。自分で同時送信の扱いを書くことにはなりません。

整理券を自分で刷るのではなく、整理券のある売り場の作法をそのまま借りる、ということです。

使ってみる

MulmoTerminal は、次の一行で立ち上がります。ターミナル(Windows なら PowerShell、Mac ならターミナル)を開いて、そのまま貼り付けます。

npx mulmoterminal@latest

ブラウザが開いて http://localhost:34567 が表示されれば成功です。インストールという作業はありません。npx はその場で取ってきて動かすだけなので、合わなければ閉じるだけで終わります。止めるときは、打ったターミナルで Ctrl + C を押します。そのターミナルが分からなくなったら npx mulmoterminal@latest stop です。

動かない場合、足りないものは次の二つのどちらかです。

確かめ方 無ければ
Node.js 22.12 以上 node -v nodejs.org/ja/download の LTS。入れたらターミナルを閉じて開き直す
Claude Code claude --version macOS は curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash、Windows は irm https://claude.ai/install.ps1 | iex。そのあと claude でログイン

Claude Code は、AI をターミナルから使うためのコマンドです。使うには Claude の有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)か API のアカウントが必要で、無料プランには含まれていません。MulmoTerminal 自体は無料で、AI の使用量はその契約から引かれます。

新しい空のフォルダを一つ作ります。デスクトップでいいです。名前は何でもかまいません。

MulmoTerminal の空いているマスをクリックして、上のタブで Claude を選び、WORKING DIRECTORY にそのフォルダのパスを入れて、右の再生ボタンを押します。

起動フォーム。上のタブで Claude を選び、WORKING DIRECTORY にフォルダのパスを入れて、右の再生ボタンを押す

開いた画面に、欲しいものを普通の言葉で打ちます。

社内勉強会の満足度アンケート。5段階の評価と、良かった点、改善してほしい点。 あと次に聞きたいテーマを自由に書ける欄。

定員やキャンセル待ちの話は入れません。そこが壊れようがないの条件です。

公開する前に自分で見ます。そのマスでコレクションのパネルを開いて、ヘッダーの Previews を押すと、公開サイトと同じものが動きます。

そこで四つ確かめます。データが出ているか。読み込み中で止まっていないか。送信すると確認が出て、入っている値が正しいか。わざと変な値を入れて、断られるか。そして仕上がって見えるか。

よければ公開してと頼みます。リンクが返ってきます。

自分で一件答えて、同じリンクをもう一度開きます。自分の回答だけが出れば成功です。

外に出したくないものなら、公開ページは作らないでと先に言っておきます。そうすると、名簿に載せた人しか開けません。

やめたくなったら、同じマスでこのアプリの公開をやめてと頼みます。リンクが開けなくなります。集まったデータを消すなら、レコードを全部消してと頼みます。消すと戻らないので、先に画面で中身を見て、必要なら書き出してから頼んでください。フォルダごと捨てるのは、公開を取り消したあとなら削除するだけです。

まとめ

試食の行列と限定品の行列は、見た目が同じで別の仕事です。有限なものが一つ入った瞬間に、整理券と係員が必要になります。

初めて公開するものは、誰かが送信しても他の人にできることが変わらないものにします。アンケート、クイズ、定員のない申し込み。同時に押されたときに考えることがありません。

二本目で有限なものを扱うときは、自分で書こうとせず、三十席やキャンセル待ちと言ってその扱いを持っている形を選びます。

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