コードを書く補助役の人工知能を、同じ開発機で 3〜5 体まとめて走らせたい、と考える人が増えました。文字だけで動く軽い作りで、画面を分割するための仕組みと、同じ場所から複数の作業用コピーを切り出す仕組みを組み合わせます。それぞれの作業を別の枝で同時に動かせる構造になっており、使う人はひとつの画面から行き来しながら、全体の進み具合を把握できる、というのが基本の形です。絵の描画も重い画像処理も要らないので、手元の端末ではなく、通信越しにつないだ遠隔の開発機の画面でも、軽く動くところが強みになります。この記事では、そういった並列エージェントの入口に立つ二つのツールを並べて見比べていきます。
ひとつは文字だけで動く軽量な作り、もうひとつは画面全体に広げる作り。発想としてはかなり近い位置にあり、裏側ではどちらも同じ土台を使っています。違いは、見え方と対象範囲にあります。
Claude Squad の強み
ターミナルの中で完結するので、画面構成はシンプルです。公開先のリポジトリ で配布されています。インストールするとキーバインドだけで操作でき、新規作成・再開・終了にそれぞれ一文字の割り当てがあります。多重化と作業コピー切り出しの仕組みが内蔵されていて、ユーザーが別途下地を整える必要がありません。ブラウザも描画カードも要らないので、暗号化通信越しに開発用の計算機へつないで動かすような用途でも、軽快に動きます。
開発サーバ上で SSH 越しに Claude Code を 3〜5 体回したい、という用途では、Claude Squad は現時点で最良の選択肢の一つです。
Claude Squad の制約
TUI 由来の制約もあります。
- 1 体ずつしか見られない: 画面は 1 枚なので、拡大・戻る・別のセッションに拡大、を繰り返すことになる
- ブラウザが前提の機能は使えない: 画像の表示、HTML レンダリング、動画
- スマホから使えない: 席を立つと操作できない
- 通知音が鳴らない: Terminal の bell に依存するので、
iTerm2などで無効にしていると気づけない
Claude Code や Codex が「GUI ツール呼び出し」でキャンバスに図を描いたり、Collections でデータアプリを作ったりする機能は、TUI では表現できません。
MulmoTerminal の立ち位置 — ブラウザで同じ発想を広げる
MulmoTerminal は Claude Squad と同じ発想(tmux + git worktree)をブラウザで提供します。グリッドで複数のライブ画面を同時に見られます。

複数のライブ画面を同時に
TUI の 1 体ずつ切り替える制約を外します。
- 1 ページ最大 9 セル、あふれるとページが増える
- 拡大したセルの横に、他のセッションのロスター(1 行サマリー)
- セル同士は裏で tmux なので、永続化は Claude Squad と同じ
GUI ツール呼び出しが使える
Claude Code や Codex のツール呼び出しが、ブラウザ上に 図、フォーム、画像、HTML、動画、スライド、コレクション、会計 といった形で描画されます。TUI では表現できない部分です。
スマホに通知が飛ぶ
席を立っていても、スマホに Web Push。移動中にスマホから返事ができます。Claude Squad には無い経路です。
会話ペイン
拡大中セルの会話をターン単位で、Markdown レンダリング付きで横に表示できます。alt screen の Claude セルで「流れて消えた分」も、エージェントの transcript から直接読めます。
どちらを使うべきか
| 作業 | 使うもの |
|---|---|
| SSH 下の開発サーバで、Terminal だけで完結させたい | Claude Squad |
| GPU のない軽量な VPS で複数エージェントを回したい | Claude Squad |
| 複数のライブ画面を同時に見ながら監督したい | MulmoTerminal |
| GUI ツール呼び出し(図・画像・HTML)を使いたい | MulmoTerminal |
| スマホから操作したい | MulmoTerminal |
| 会話ペインで Markdown レンダリングを読みたい | MulmoTerminal |
併用できる?
技術的にはできます。tmux ソケットがぶつからなければ、同じマシンに両方入れて使い分けられます。ただし同じ Claude Code セッションを同時に 2 つのツールから resume することはできません(Claude Code 自体の制約)。
実際には、開発サーバ側で Claude Squad、ローカルで MulmoTerminal のような使い分けが多いでしょう。
試す — 1 行で起動
npx mulmoterminal@latest
ブラウザが開いて http://localhost:34567 が表示されれば成功。必要なもの:
- Node.js 22.12 以上
- Claude Code CLI(Claude 有料プランか API 契約)
- tmux(推奨 — セッション永続化のため)
- git(並列隔離を試す場合)
Claude Squad を使っていた方は、既存の worktree と Claude Code セッションはそのまま再開できます(ディスク上のトランスクリプトを resume するだけ)。移行作業は不要です。
詳細は MulmoTerminal 完全ガイド か、公式ドキュメント へ。
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Singularity Society はテクノロジー集団として、MulmoClaude / MulmoCast / MulmoTerminal を同時に開発しています。エンジニア・起業家向けの実践プログラム BootCamp も運営しています。



