メルカリ × 中島聡 ディスカッション イベントレポート

2020年1月にメルカリさんとシンギュラリティ・ソサエティ(以下SS)のメンバーで「貧富の差」「サステイナブルな発展」というテーマを設けディスカッションをおこないました。

メルカリUSさんにもご紹介いただきました!こちらからご覧いただけます。

第1ラウンド

イベント前半は、メルカリさんとSSをミックスし、グループに別れれてディスカッションをおこないました。参加したSSメンバー感想などをご紹介したいと思います。

小津氏:メルカリ/メルペイさんで、なぜ「貧富の差と資本主義」を議論するのか?ということに疑問を持ち、グループワークの最初にメルペイの社員さんに聞いてみました。

メルペイのビジョンは「信用を創造して、なめらかな社会を創る」。現在はお金が中心になっているので、格差が広がってしまうが、信用を蓄積している人が色んなものを交換できる社会になったらいいのではないか?究極的には人類の誰もが欲しいものを欲しいときにお金を介在せずに利用できるような世の中にしたい。そこにメルペイはチャレンジしているとのこと。

ディスカッションでは、メルカリ/メルペイのサービスの新サービスの検討として、『不要な物』を出品するのではなく、『欲しいもの』をリスト化して、それを持っている人が出品するサービスはどうか?というアイデアが挙がった。こんな物をこの値段で買う人がいるんだ!という体験はメルカリを使っている人であれば誰でも経験済みであるが、自分の持っている物の値段の付けることが億劫だという人もいる。今回挙がった新サービスは、誰かが欲しい物なので出品すれば売れる事は必須で、マッチングする手間が省けてありがたいという人はたくさんいるのではないか。このサービスは通常でも面白いサービスだが、一番の強みは災害時などの有事のときにある。被災者のために!と思って送る物資も受け入れや仕分けが大変だったり、本当は必要ではないものを受け取ったり。C to Cで日本一の企業が損得抜きにここに挑戦すれば本当に素晴らしいと感じた。日本が誇る元ユニコーン企業が、中島さんの助言を受けて、アメリカだけでなく、世界で活躍する企業に成長していくところを楽しみにしております。

発表タイム

グループディスカッション後、各グループが話し合った内容について発表しました。文化資本の差が貧富の差を生んでいるという仮説からメルカリが提供できそうなサービスを発表するグループや、メルカリとは関係なく物を循環させることで物を大切にする社会について発表するグループ、寄付の概念を取り入れたサービスについて発表するグループなどがありました。

第2ラウンド

第2ラウンドから参加のSSメンバーが書いてくれたレポートをご紹介します。

外舘氏:メルペイCTO曾川さんと中島さんの対談。メルカリは、 捨てるをなくす ということをミッションとしていることもあり、曾川さんは、昨今問題となっている貧富の差を、1% の富裕層から 99% の残りの人達の物の流れ、金銭の流れを構築することにより解消して行きたいと考えており、どうすべきか?というディスカッションになりました。日本の課題を解決するというよりも、どちらかというと米国のひいては世界の社会問題を解決するような話の展開。日本にも貧富の差はあるが、世界や米国と比べれば差は少ないこと、メルカリが米国市場に挑戦していること、中島さんが米国に住まれていることもあり、米国よりの視点が主であった。問題の解決案に関しては、どうすれば富裕層を動かすことができるかという話しに終始。一般的に多くの人が、メルカリを使う理由としては、主に経済的合理性が挙げられるが、1% の富裕層には当てはまらない。当たり前だが、富裕層に金銭的インセンティブは弱い。金銭という面でいうと、ドネーションなどにより、税控除があるようなので、寄付した人が、税控除申請できる書類をメルカリが自動で発行できれば良いという話は、中島さんからあがった。富裕層を動かすという案で上がったのは、主に下記の二つ。

*サステイナビリティの観点:サステイナビリティは、米国に限らず、先進国に住んでいる人間は意識していることが多い点であり、そういった問題を考えていくことは、社会として当然であるという風潮がある。このサステイナビリティの観点から、富裕層がメルカリを使うことが、クールなこと一種のファッションアイコンとして使われれば良いのでは?とのこと。一時期プリウスが流行った理由も、環境に配慮しているといったファッションアイコンの面も多いにあったかと。

*引き取りサービス:中島さん曰く、ゴルフバックなどをただ捨てることには罪悪感があるそうで、タダでもいい(値段交渉が面倒)ので、ラベルなどを貼れば、どこかの倉庫なりにすぐに引き取ってくれるようなサービスが欲しいという話があがった。日本のメルカリでは、メルカリに出品すること自体が好きという方がいらっしゃるそうで、そういった方に物品を引き取ってもらい、出品するという試みを過去行なったことがあるらしい。このお話から、米国ではUberやLyftなどでお金を稼いでいる人が、富裕層の家から物を引き取り、出品するという流れを作れば、富裕層はいらない物を捨てることなく、罪悪感なしにすぐに処分できると同時に、物品を引き取った人は普段の仕事(Uberなど)のついでで、実際に物品の輸送まで兼ねることにより、余計な労力をさくことなく、お金を稼げるのではという案に発展。

雑感:日本では、企業のミッションが大切にされていない点、サステイナビリティの観点から行動している会社や個人(常にマイボトルを持ち歩き、ペットボトルをなるべく買わない、スーパーでビニール袋を貰わない等)が少ない気がするので、今回の話は、少し悲しいもののあまり日本向きではない様に感じました。しかし、アメリカでは有効的な施策である様に思いました。アメリカのメルカリは、まだ取り扱える品目が少ない事、日本ほど配送網が発達していない点など、そもそも解決すべき課題が多い様ですが。。。アメリカでは、貧富の差は非常に問題になっており、そういった問題がメルカリによって解決される一助になる可能性があるという観点は、非常に新鮮でした。また是非そういった社会課題に取り組みつつ、アメリカ市場で成功して欲しいと切に思いました。短い時間でしたが、非常に気付きが多い会でした。また改めてメルカリを応援したいと思えるような素敵な会でした。第2ラウンドからしか仕事の都合で参加できませんでしたが、非常に貴重な機会を企画して下さりありがとうございました。

おわりに

今回の企画は、メルカリの研究開発組織R4Dのコアコンセプトである「テクノロジーの力で価値交換のあり方を変えていく」を出発点にし進めました。
R4Dは2020年1月から東京大学に社会連携部門「価値交換工学」を設立しており、価値交換を学術的に研究していくそうです。今回議論した内容が研究テーマに反映されることを期待しています!

価値交換工学についてはこちらに詳しく掲載されています。


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