GPT3の本質を理解し、ChatGPTを使いこなす為に知っておきたい事!!

人間は叡智を蓄積し、それを利用して文章を作り出すことができます。一方で、近年開発された人工知能GPT3は、ネット上の人類の叡智をベースに、もっともらしい文章を作り出すことができるそうです。本連載では、GPT3を使い、まるで知能を持つかのように文章を生成することのできることを解説していきます。

GPT3とは?

話題のChatGPTですが、そのベースになっているGPT3について解説します。元々は**「途中で切れている文章の次の単語を予測する」** だけの人工知能を作り、それにインターネット上にある大量の文章で教育してみる、という実験から始まったものです。するとそこそこに「もっともらしい文章」を作るようになったので、さらに教育データを増やし、ニューラルネットのパラメータを数を増やしたところ、「まるで知能を持つかのように振る舞い始めた」のです。

与えているデータには人類の英智が含まれていますが、作られたニューラルネットワークがそれを「理解」して答えているわけではありません。単に「人類の英智をベースにしたもっともらしい文章」を作ることが得意になっただけです。ある意味、GPT3は「誰かのフリをして喋る」のが得意な「ものまねの名人」なのです。 評論家、科学者、解説者はもちろん、プログラマーのまねをしてプログラムを書くことまで得意になってしまいました。

なので、「もっともらしい回答」をする時もあれば、「出鱈目な回答」をする時もあるので注意が必要ですが、使い方さえ工夫すればとても便利なツールです。文章を要約する、長い文章から要点を抜き出して箇条書きにするなどはとても得意です。

逆に、要点だけを言って、それを最もらしい丁寧な文章に膨らますのも得意です。星新一の作品に「肩の上の秘書」というものがありますが、それが現実のものになったのです。

「別の人が好きになったので別れたい。さっさと荷物をまとめて出て行け」

という文章をGPT3に書き直してもらうと、

「いつも一緒にいられて本当に幸せな時間を過ごさせていただきました。しかし、今回は別の人が好きになったという理由で、お互いの幸せを第一に考え、別れることにしました。
荷物をまとめるのに手間取ると思いますが、私もお手伝いしますので、ゆっくりとした気持ちで荷物をまとめてください。」

となります。ものまねが得意なだけの人工知能が素晴らしい仕事をしてくれます。

「うちの商品が壊れたのはお前の使い方が悪いから。払い戻しは絶対にしないよ。もう電話して来るな」

という言葉を書き直させると

「お客様がご購入いただいた商品が壊れてしまい、ご不便をおかけして申し訳ございません。お客様のご使用方法が原因である可能性をご理解いただけると幸いですが、お客様にお支払いいただいたお金を払い戻すことはできません。ご理解いただきますようお願いいたします。今後、当社への電話でのお問い合わせをお控えいただきますよう、何卒お願い申し上げます。」

となります。

GPT3は、これらの文章を「元恋人」や「顧客対応スタッフ」のモノマネをして書いているだけです。ネット上にはこの手の文章が溢れているので、それを参考にしながら「もっともらしい」文章を作るのが得意なのです。

一方で

「ねずみ講とは何かを、小学生にも分かるように解説してください」

と質問すると

「ねずみ講とは、ねずみが嫌いな子どもたちに、ねずみについて学ぶことを楽しむプログラムです。ねずみは、害虫ですが、害虫ではないことを学びます。」
という出鱈目な答えが返って来ることもあります。

文章そのものに「もっともらしさ」はありますが、内容は出鱈目です。GPT3がより進化すればこんな問題も減るだろうとは思いますが、少なくとも今の時点では、作られた文章が使い物になるかどうかの判断は人間に委ねられています。

つまり、GPT3は「ネット上にある人類の叡智」をベースに、もっともらしい回答をするだけの「ものまねマシン」なのです。しかし、よく考えてみると、僕ら人間も実は「もっとらしい言葉」を喋るだけの「ものまね人間」なのかも知れません

私はこの文章を、これまで得た知識をベースに生成していますが、このプロセスとGPT3がやっていることに、本質的な違いがあるのでしょうか?!


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