安野たかひろ × 中島聡 緊急対談 書き起こし
2024年7月3日に東京都知事選挙に立候補している安野たかひろさんとオンライン対談をおこないました。動画はこちらにあります。この記事はその対談をAIを使って書き起こしたものです。
司会:では、安野さん、中島さん、よろしくお願いします。
安野:よろしくお願いします。
中島:よろしくお願いします。
司会:本日は対談ということで、お二人に自由に会話して頂くというところですが、まず、視聴者の皆さんにそれぞれ自己紹介していただいて、今回、安野たかひろの出馬を中島さんがどのように見られているのか、初めてこういう候補者がいるんだというところに対する感想から伺っていければと思います。みなさんご存知かと思いますが、安野さんから自己紹介をお願いします。
安野:中島様とは実は初めてお話しさせていただきます、安野です。今までソフトウェアエンジニアや、AIを使ったスタートアップの企業経営などをしてまいりました。そして、今回ソフトウェアの今の技術を使うことで、今の政治をアップデートできる余地があるというところで、今回立候補させていただいております安野たかひろでございます。中島さんのお名前はテック業界では有名でして、そういった方とこういう機会にお話しできることが、すごく嬉しく思っています。本日はよろしくお願いいたします。
中島:よろしくお願いします、エンジニアの中島です。もう長いこと高校生の時からコードを書いているので、最初に書いたコードはインテル8ビット8080のアセンブラをゴリゴリ16進で書いて書くというところから始めて、それからBASIC, C, Pascal をはじめてずっと今まで来て、最近では、相変わらずPython, Swift, TypeScript 等を延々と書いてます。MicrosoftにいてWindowsをやっていたのは昔の話ですけど、アメリカに1989年から来ています。Microsoftが引っ張ってくれたのですけど、それ以来アメリカに住んでいて、エンジニアをやって、会社を立ち上げて売却し、それを買い戻してまた売却するということもしつつ、iPhoneアプリを作ったり、それから最近だとSingularity Societyという
安野:はい。夏野さんと始められたやつですよね。
中島:そうです。最近は、ハッカソンとかをやってエンジニアを集めて楽しく、会社作りとかグループ作りの支援みたいなことをしています。それから、週刊 Life is Beautiful というメルマガをマグマグから発行していします。メルマガが時間的には一番使っているかもしれないですね。
安野:私のところでも「中島さんがメルマガで安野について言及しているぞ」という声を多数エンジニア仲間から頂いて、「中島さんが見てくださっているんだ!」というのを知った覚えがございます。
中島:最初にどうやって(安野さんに)気がついたか覚えてないのですけが、面白そうな人がいるから、政権放送って言うのでしたっけ?NHK の
安野:政権放送ですね。
中島:見てみたら面白いこと言っていて、特に GitHub でプルリクでリクエストするって言ってたので、すぐに探したらその時なかったじゃないですか。
安野:そうですね。
中島:でも、そんな感じでちょっと面白いことしてるなと、注目して、でっかいマニフェストが出て、見て、実際 GitHub にちゃんと出て、プルリクもあるし、Issue も出るし、すごい、面白いなと思いました。こういうのを応援っていうのかどうかよくわかんないけど、僕割とまだ客観的に見て、別に僕、安野さんのこと知らなかったので、支援しようとかそういうのとも、一歩下がった形で。やっぱ、政治そのものに幻滅してるわけですよ。
安野:はい。
中島:日本だけじゃなくてアメリカもそうだけど、わかんないところで政治のプロの人たちが何かやってる。結局国民の声とか聞かないで、政治家にうまく取り入った企業を、優先して仕事流してみたいなことをやってるっていう、すごく幻滅してる部分があり、でも、投票行かないといけないよねみたいな、そういうちょっとジレンマを持ちつつ、都政見てる中で、安野さんのアプローチがすごい新鮮に映ったんですよ。
安野:新鮮に映ったんですね。
中島:ちゃんと聞こうとしてくれてるし、マニフェスト見ててもある程度いろんなことを網羅してるじゃないですか。
中島:政治家って票を取るためにかっこいいこと言って、公約っていうだけで終わっちゃう人たちが多いのに対して、僕が感じたのは安野さんっていうのは、せっかく政治家になるんだったら、みんなのためを考えて、教育に関してはこういうこと、医療に関してはこういうことをやらなきゃいけないんだよ。でもそれは頭ごなしに票を取るために言うのが正しいんじゃなくて、ある意味謙虚にみんなの声を聞こう、専門家の声を聞こうと。僕の予想だけど、公約は公約だけど、多分(安野さんは)実際政治家になっても同じアプローチを続けてくれるんじゃないかなと。
中島:選挙前にね、例えば教育に関してこうしたほうがいいと思うって言ったところで、実際やろうとしたらうまくいかないかもしれないし、そこまで意見を言ってくれなかった人の意見も上がってくるかもしれないから、本来そういうものっていうのは、国民の声を聞きながら、都民が変わってかなきゃいけないもんじゃないですか。
中島:だから聞くのは連続的に聞くべきだし。(安野さんは)ひょっとするとそういうやり方をしてくれるのかなと。僕に限らずすごく多くの人が政治全体に幻滅してると思うんですよ。自民党のパーティーの問題にしろ、都庁のプロジェクションマッピングのすごいお金で…
安野:ええ。
中島:みんな、結局選挙に行ったって変わらない。誰を選んでも変わらないと思ってる。それを突破してくれる人が現れてもいいかなと。そんなこと言うなら自分でやれよって言われちゃうかもしれないけど、僕は政治とか向いてないタイプなので、誰かにやってほしいなと思ってた意味で言うと、ちょっと期待できるじゃんみたいな。
中島:僕は都民じゃないから投票に行けないので、せっかくならとメルマガに書いたんだけど、じゃ、皆さん、安野さんに投票してよって言ってるわけじゃないんですよ。ただ、こういう人がいて、こういうアプローチをしいて、僕は新鮮に映ったよと。だから少なくとも見てよっていう風に言ってるんです。やっぱりマスコミって、いかにも勝ちそうな人とか、今までの実績がある人ばっかり取り上げるじゃないですか。
安野:本当、そうなんですよ。
中島:その不公平な部分を、ちょっとでも僕が補えればいいかなと。結果的に応援って言ってもいいかもしれないけど、本当にもうちょっと、こういう今までの政治家と違うアプローチをしてる人に目を向けてよっていうぐらいの、応援と言えば応援だけど、の気持ちなんです。
安野:ありがとうございます。まさにおっしゃっていただいた、私の最大の課題は知名度だと思ってます。他の候補者の方と比べて、しっかり具体的な政策を用意したり、それを伝えるための技術要素をどんどん自分で作っていったりだとかは、かなりできているつもりですけど、そもそも知ってもらうことがなかなかできてないというのが私の課題です。おっしゃった通り、マスコミの主要なメディアって主要候補っていう枠を一応勝手に決めてですね、それは、過去に政治経験があるかどうかで決まっていて、そこの枠から外れた人のことは一切報道せず、その主要候補の枠に入った人は平等に報道することで、ある意味での平等性を担保しようということなんですけど、そこの基準だと今の私は漏れるので、マスコミ、マスメディアにはなかなか報道してもらいづらいところがあります。今回みたいに中島さんのようなご協力は本当に、私がまさに必要としていたところなので本当に嬉しく思います。先ほどおっしゃっていた、政治に対してそもそも諦めてるとか、落胆してる部分があるっていうのはすごく私もよくわかりまして、いろんな政治家の方は現れるんだけれども、何かがラディカルに変わった感じっていうのが、私が生まれてから33年間の間であまり経験したことがないなと思ったんですよね。今の日本のこの33年間っていうところでいると。これって、プレイヤーの人の問題なんじゃなくて、もうちょっと根深いところに問題があって、アーキテクチャレベルというか、システムレベルの問題なんじゃないかっていうのが、私の一つの仮説で、そのシステムをどういうふうによくできるのか、どういうふうに課題解決できるのかっていう側面で、いろいろ活動をしていて、今回の選挙でいろんな GitHub を使うみたいな新しい試みをやってるのもそうですし、そのマニフェストの中で、提言している政策自体も、ある意味、その課題解決をどのようにやるかっていう観点で、いろいろまとめさせて頂いてるものだと思ってます。そういった姿勢を中島さんがちゃんと見て頂いていて、私のある意味伝えたかったところを受けて伝えて頂いていて、すごい嬉しいなと思いました。
中島:やっぱり、僕もエンジニアだから思うけど、例えばスピードを早くしようとしても、アーキテクチャが悪かったらいくら頑張ってもよくならなくて、根本的に変えるとグッと直ったりすることはあるし、人もやっぱりそのインセンティブ設計だったり、その辺が間違ってるとうまくいかないっていうことは多いので、多分政治機構もどっか間違ってるんですよね。それも、そういうのって直すのすごく難しい。特に政治家は当事者だから難しいなと思うんだけど、やっぱり誰か、ブチ壊す人が出てこないといけなくて、今回思ったけど、プロジェクションマップに関して疑わしいことがあるって言って資料を出せって言うと、黒塗り資料が出てきますと。それで許されちゃってるじゃないですか。国も、都も。
安野:そうですよね。
中島:どこか根本に間違いがあって黒塗りの資料は出せないっていう法律を作るとか、政権が変わった瞬間に次の人が前の人の資料を全部公開しちゃうっていうカルチャーがある。それくらい根本的な部分でシステムから変えないと直らないと思うんですよね。それもあって、僕は政権がやっぱりある程度の単位で変わっていく。これは国の話になっちゃうけど、アメリカは二大政党。政権が変わった時ってガラッと変わるし、悪いことしてると次の政権がバラすので大変なことになっちゃうじゃないですか。韓国とかも、政権が変わると前の人は牢屋に入ったりすることがあるけど。
安野:そうですね。大変なことになることが多いですよね、韓国は。
中島:でも、やっぱりそれぐらいの緊張感を持って政治をしてもらわないと悪いことが起こるので、ある程度の政権交代が必要だし、それよりもシステムレベルで本当に悪いことができないように誰かがしなきゃいけないなと。アメリカの歴史とかを勉強してると、やっぱり建国の父と言われたジョージ・ワシントンとかね、あの辺の人たちってすごいんですよ、考えていて。要は自分たちが最初の政治家、例えば、ジョージ・ワシントンが最初の大統領になったじゃないですか。だけど、彼自身が同じ人が大統領を2期、だから8年以上やるのは好ましくないと。
安野:はい。三選禁止の、制度がもうできてますよね。
中島:自ら言い出した法律を作ったじゃないですか。他にもいっぱいあるんですよ、大統領にあまり権限が及ばないような仕組みとかいうのを自ら作った。システムから作って政権を取った人が横暴ができないようにする、みたいな。どんどん、どんどんちゃんとやって、すごい良いシステムができたことがすごいと思う。のに対して、亡くなっちゃったからあんまり悪いことは言いたくないけど、安倍政権になってから官僚を支配する仕組みができたりとか、どんどん、どんどん政治家の力が増す方向に、要は自分たちに都合が良い方に法律が変わっていったっていうのは、すごい悲しい。
安野:はい。まさにおっしゃる通りだと思ってて、今の日本の国政で言うとあまり新陳代謝が起きていないですし、起きることの促進もしてないと思ったんですよね。例えば、二世議員が多い問題もそうだと思うんですけど、今回私が全く政治の世界から別のところから選挙に出て、すごく感じたのは、見えやすい仕組みも見えにくい仕掛けもあるんですけど、すごく外の人の参入障壁が高い仕組みになってる。それは公職選挙法がすごく難しくてハイリスクなものになっていることもそうだと思いますし、すごくマンパワーがあることを前提としたオペレーションになっている。例えば、東京って1万4000箇所に掲示板があって、東京都知事選ではドサッと書類を渡されて、この1万4000箇所に勝手にポスターを貼っといてねって言われるんです。そういったもろもろのものが基本的には外部からの参入をあまり前提としてないものになってたりしていて、私はこういう政治における新陳代謝を促進する仕組みがもっとあることによって、黒塗り問題もその一例だと思いますけれども、政治家が自分のいいように今の制度をハックし続けている状況を変えやすくなると思うんですよね。
中島:それ、ぜひやってほしいですよね。それをするのって、難しいのかもしれないですよね。人間、やっぱり欲があるから。
安野:そうだと思いますね。
中島:でも、そのシステムを変えないとダメ。
安野:そうだと思います。議員になって最初は志が高かったとしても、力を持っていく過程で生まれたしがらみによって実質的に今のシステムを変えようということができなくなっていると思います。私みたいに完全に別のところからやって、システムを改善したいとか問題を解決したいっていう思いはあるんだけど、政治的権力を最大化したいとあまり思ってない人が入っていくのは、悪いことではないと思ってます。
中島:やっぱりそういう人じゃないと、そのシステムの所から直そうとしないよね。矛盾だけど、そういう人は当選しにくい仕組みになってるのはなんとかしたいけどね。
安野:そうなんですよ。まさにそこで、マスメディアの主要候補の枠組みを勝手に決めるところも、その一つだと思うんですけど、こういった仕組みを一つ一つ打破していかないといけないなと思っています。
中島:なんであれは選挙違反じゃないんだろうね。おかしいよね。
安野:そうですよね。今のところの情勢調査などを見ていると、私は主要候補と括られていない人間なんですけど、主要候補の中の人よりも得票する可能性が高いっていう調査が出始めておりまして、そういう意味で、こういったことってあんまり今までなかったらしいです。こういう状況になってること自体が、勝手に決めた主要候補って、本当にこの決め方でいいんだっけっていうことの疑義を呈せるくらいになってきているので、そこは一つ、一石を投じられそうなところかなと思っています。
中島:これは何人ぐらいの人が聞いてるか分かんないけど、あれだよね。いっぱいの人に見てほしいよね。
安野:まさにおっしゃる通りですね。今500人くらい見てます。
中島:おかしいこといっぱいあるよね。東京オリンピックだってなんかおかしかったし。
安野:私は、4年に1回しか民意を反映させられるチャンスがない、その選挙という枠組みでしかないのが一つ問題だと思ってて、例えば東京オリンピックの時も、スマートフォンとインターネットと、あとはマイナンバーカードみたいな本人認証の仕組みがあるのであれば、東京都民向けに、プッシュ型でアンケートを取るとか政策投票みたいなことをやって、今オリンピックやるべきか、それとも延期すべきか、やめるべきかみたいな、その民意を聞いた上で、それを横目に見ながら首長が、都知事が意思決定するのがいいと思うんですよね。それって技術的にはできる話なんだけれども今やられてはいなくて、これ、例えば私が都知事になったら、そういう公職選挙法の枠外の政策投票みたいなものをアプリ経由でやる、その結果を最大限尊重するみたいな条例を作ることによって、そういった民意を4年に一度以外に組み上げる仕組みっていうのを実装できると思ってるんですよ。例えば、そういうことを通じていろいろ変えたいなと思ってます。
中島:そうだよね。全然、民意の反映の仕方とかも進化してないもんね。
安野:そうなんですよ。
司会:仕組みがおかしいなと思った時に、実際当事者として変えてみるっていうところが、今回安野さん立候補されてる一つなのかなと思いますけど、実際にやってみるっていうことで、特に大事にしてるポイントだったりとか、ここは政策だったり、デジタル民主主義みたいなところもありますけど、自分の思いとして伝えておきたいところはありますか?
安野:今回いろんな取り組みをするにあたっての自分の思いってことですかね。
司会:そうです。
安野:一つあるのは、2024年になっていろんなことをもう実装可能になってきたなと思ってるんですよ。一昔前だとこういった技術を使うことで、みんなの意見を組み上げて、みんなで意思決定しようっていう議論もありつつ、それってやろうとするとむちゃくちゃ大変でできなかった時代があったと思うんですよ。我々がいつも出している説明で、3段階の言論の状況があると思ってて、この1段階目がブロードキャストができるようになった後の時代っていう感じですね。誰かの意見をマスメディアを通じてみんなに発信できるようになった。これがまず最初の時代としてあって、2000年から2010年代にかけてインターネット、スマートフォンが普及して、SNS もできたことで、みんなが何かを言えるようになった。これが第2の段階だと思ってます。ただ、これも問題があって、みんなが言えるようになったがゆえに、大量の情報が一人にところに溢れてくるので、誰が何を言っているのかを全体感を持って議論するという感じでもなく、ただ情報が溢れてるだけだったというのが、第2段階のところだと思います。我々、今2024年となった時に第3段階に来てると思ってまして、例えば ChatGPT であるとか、そのエンベディングの精度が上がってきたことによって、どういう意見がどれくらいあるのかをクラスタリングで見えるようになってきたりだとか、あるいは、AI が、議論と議論の間に入って物事をファシリテートをしたり、モデレーションをすることができるようになり始めたと思ってます。まだまだ、これ、初期的なフェーズだとは思うんですけど、今後 LLM であるとか AI が進歩していくことによって、より、みんなで決めるっていう時に足りなかった議論をファシリテートする、モデレーションする、見える化することが今後できていくようになるので、そういうコラボレーションのあり方は、結構いろんな可能性があると思ってて、そこはすごく模索していきたいなと思ってますね。
中島:そうだね。面白いね。今思ったけどさ、例えば選挙にしても、今だったら都知事選、誰かの候補に一票入れるじゃん。すごい、それって情報量少ないじゃん、実は。
安野:はい。いや、まさにそうですよね。オードリー・タンさんも、選挙って超低速の通信で、3ヶ月くらいかけて、たった、4人くらいの候補者の中から誰を選ぶかっていう2ビットくらいの情報量しか交換できてないっていうこと言って、めっちゃ面白いなと思ったんですけど、いや、まさにそういうことだなと思います。
中島:今度さ、例えば少子化対策はどうしたらいいかっていうアンケートを取る際に、今までのやり方だったら保育所の数は増やしたほうがいいですか?イエス、ノーみたいな。と、1ビットじゃん。
安野:はい。
中島:でも、それ、保育所に関して何でも言っていいって言って、自然言語で言ってもらって、それをクラスタリングして情報として得るみたいな。すると、もう全然情報量違うじゃん。
安野:いや、まさにそうですね。
中島:デジタル化しようって言った時に、今までの紙で書いてたものを単にデジタル化するって言うと実はあんまり大したことないけど、リアルタイム性があるからいいけど、LLMをファシリテータとして間におくことによって情報量が増える。ちゃんと少数意見とか、もしくは政権側が思いもよらないような意見が、実はここに小さなクラスターがあったみたいなことを発見できるとかね。それって今までにない国民の..都民の情報の吸い上げ方だから、すごいことができるかもよね。
安野:まさにそう思いますね。台湾の同性婚を認めるべきか認めないべきかみたいな議論の時に、まさにそういったことを行ったらしいんですけど、そこでの発見で、今までは若年層の方は結構賛成で、ご高齢の方が反対だっていう、割とゼロイチの見られ方がされてたらしいんですけど、実際、そういったクラスタリングをかけていくことで分かってきたのが、ご高齢の方も同性婚自体は当人同士が結婚すること自体は賛成であると。ただ、台湾って戸籍上パートナーになると、自分も含めて家族がその相手と親族になってしまうと。親族になるっていうことに対する抵抗感がすごくあるっていうことが分かってきたらしいんですよね。で、そこで落とし所としては、同性婚を認めるけれども親族ではないという仕切りにするっていう、折衷案で落ち着いたらしくてですね、まさにゼロかイチかで聞いてるだけだと見えなかった落とし所みたいなのが見えるっていうのはすごく良いことだと思いますし、政治って結局お互い譲れないものがある中で、どこら辺で良い折衷案を見つけ出すかというゲームだと思ってて、そういうところにはすごく相性がいいなとは、私は思いますね。
中島:あとさ、もう一個思うのは例えば健康保険のシステム。老人医療の話で言うと僕もよく覚えてるんだけど、昔、日本で整形外科に怪我して行ったらもう待合室が老人だらけ。会話を聞いてると冗談抜きで漫才のシーンみたいに「あ、今日誰々さん来てないね」って言って、「体の具合が悪いらしいよ」って言ってて、「体の悪いのがさ、体悪い言って来ないのか」みたいな。
安野:なるほど。逆に来なくなっちゃうんですね。
中島:で、それってさ、個々の人にとってみると、その時は保険で無料で受けられるから受けに来る。マッサージ代わりに整形外科に来るみたいなことをしてて、個々にとってはメリットだけど全体にとってはマイナスっていう、囚人のジレンマって実はものすごく起こるじゃん、何でも。例えば、お金ばらまくことに関しても、お金ばらまけば票が集まるから政治家はあげるけど、そうするとそれは国全体としては借金が増えて良いことがないみたいな。その辺も解決できないかな。
安野:そうですね。こういう、民主、有権者の意見を、そのデータを以て解像度高く吸い上げるとか可視化するっていうことを言った時の、結構一つの問題がそこだと思ってまして、それぞれの政策ごとに意見を取ったら、例えば税金は、それは少ない方がいいっていう人の方が多いし、でも福祉は、社会保障は、充実してる方がいいっていう答えになってて、その一つ一つの質問ごとに民意に沿おうとすると、全体としては実行不可能な形になっちゃうっていう問題があると思うんですよね。で、ある意味これからデジタルテクノロジーを使って、その民意を可視化してもできないところって、実行可能で責任を取れるプランニングをして、こっちにしますっていう意思決定の部分だと思ってて、そこはこれからどうすればいいのかっていうのはいろんな説があると思いますし、模索すべきポイントだろうなと私は思っています。
中島:でも情報量を取れるんだったらね、例えば税金を払う時に自分が払う税金の何パーセントぐらいはこの福祉に使ってほしい、何パーセントは少子化に使ってほしいみたいな意見を入れるようにするとかね。
安野:ああ、なるほど。
中島:でも、それを集積すると、だいたいみんなの意思が分かって、その辺に何パーセントぐらいするといいかなみたいなことが出てくるとか、何かできるかもしれないよね。今までのやり方だと、もう情報量多すぎてそんなこと処理できなかったけど。
安野:個人個人どういう社会がいいか、いいと思うかという情報をうまく組み上げることで、全体としてそれを反映していくみたいなのは確かにおっしゃる通りあると思いますね。最近、参加型の予算配分というのがあってですね、住民の方の投票を経て特定の予算プールがあって、それをどのプロジェクト、どの政策、企画に、どれだけ配分するかを決定していくっていうのが行われてたりするんですけど、そういうものも近いのかなと思いましたね。
中島:ちなみに聞くと嫌がる人多いかもしれないけど、ふるさと納税ってさ、典型的な囚人のジレンマだよね。だって、あれによってさ、特に東京都とか区とかって、予算が減っちゃってるって聞いたけど、ひどいよね。
安野:そうですね。東京は割りを食っていて、うまく仕掛けた、ある意味制度をハックした自治体だけがボロ勝ちしてるっていう状況ですね。
中島:あれがよく、憲法違反じゃないなというか、思うよね。
安野:そうですね。私も制度は果たして良かったのだろうかというのは、思うところがあります。
中島:だって地方税を勝手に振り分けてるわけでしょ?
安野:そうなんです。あれも最初は、個人の意思を尊重しようと、自分の思い通りの自治体にお金を送れるっていう意味で言うと、良い側面もあったと思うんですけど、制度設計をしっかりしないとハックされて、還元率をめちゃくちゃ高くすることによって、特定の自治体だけが得をしてしまう構造ができてしまうわけで、メカニズムのデザインってすごい難しい部分もあるなと思ってます。
中島:あと、一つ今日言いたいなと思ったのは、SF作家じゃん。
安野:あ、そうです。
中島:日本の政治家に欠けてるのは、未来を描くビジョンだと思うんだ、やっぱり。2年後とかじゃなくて、10年後とか20年後の東京はどうあってほしいみたいな。会社を立ち上げる時って、そういうビジョンを立ち上げないとお金も集まってこないじゃん。人も。
安野:そうですね。
中島:だから今すごく、特に AI のおかげでものすごく社会が変わろうとしてる時に、じゃあこの AI を利用してどういう社会にするんだ?例えば2040年の東京はどうあるべきなんだ?みたいなストーリーを描いて、そのストーリーに向かってみんなで行こうよっていう都民全体の盛り上げをする。本当に会社経営と同じだけど。会社がここに行こうって目指すものを北極星として示して、それに乗ってくる従業員を雇って、それをサポートしてくれる投資家のお金で進むみたいな。そこに行くのにいろいろ紆余曲折はあるんだけど、その目的は見失わないみたい。もう少し大風呂敷的なのがあってもいいんじゃないかなと思うんだよね。少子化とかってものすごい難しい問題だけど、例えば2040年考えてみたら、わざと遠くにすれば、保育所とかはもう全部ロボットがやってるかもしれないじゃん。介護もそう。今ほら、人が足りないって言ってるけど、本当に技術を進めてったら AI の先はロボットなんだから。介護ロボットがいます。それも介護ロボットって言うと冷たいイメージがあるかもしれないけど、本当に人の心もケアするようなロボットとか AI が、その頃にはあるはずだから。人間に世話されるよりも幸せで、かつ安いっていう世界が、そこでは実現できてますよとか。自動運転なんかすごく分かりやすい話で、老人が自分で車運転できなくなった時の移動手段どうするんだ?みたいな。特に過疎地において自動運転は明らか。そうすると目指すべきものみたいなのを、ひょっとしたら、SF 作家なんだから、SF 書いちゃえばいいんじゃないの?と、僕は思ったんだよね。
安野:あははは。
安野:未来のあるべき東京の姿を SF で描いて提示するっていうのは、それは一つのやり方ですよね。実は、私の最初の作品が「サーキット・スイッチャー」っていう作品なんですけど、2029年の東京が舞台で、自動運転車レベル5 の完全自動運転車が普及率8割くらいになった社会がどうなるかっていうのを描いている作品で、本当にそういったことはやりたいなと思ってますし、ちょっとやってる部分もあるっていうところでございます。
中島:なので、そういう意味で言うと、良い未来を描いて引っ張ってほしいですよね。東京オリンピックの時に安倍さんが首相だったけど、東京オリンピックの2、3年前に、僕、その東京オリンピックにかかってる人たちと話した時に「絶対のチャンスだから、ここでぶち上げてほしい」って頼んだの。結局聞いてもらえなかったんだけど、僕の意見としては東京オリンピックの2年前に、安倍さんが「東京オリンピックの年以降は、第2東名は自動運転の車しか走っちゃいけませんよ。そうすれば一気に技術が進むよ」と。東京都だからまた別かもしれないけど、突然明日からっていうと詐欺だけど、何年後みたいな目標設定して「自動運転特区を作るどころか、この道は自動運転車しか走れない」みたいな道にしちゃいますよと、先に用意し始めるみたいな。それは政治主導のやり方としては僕は正しいと思うんだよね。ヨーロッパはちょっと強引にやったけど、2040年から電気自動車しか売っちゃいけないみたいな。それぐらい早めに言うとみんな頑張るので。
安野:そうですよね。NASA が月に行くぞっていうのを大統領が言ってトップが示したことによって、実際にアポロ計画が成功したっていう話もありますし、トップがコミットメントを示すことによって、その産業に安心して投資がされて、それによって実際に急成長するスタートアップが出てくるという構造は絶対あるはずなので、自動運転は日本企業の強みである部分を活かしやすい領域だと思うので、政府がこの領域伸ばしていくぞっていうコミットメントを出すのが、非常に重要な領域だと思ってます。
中島:(安野さんは)若いから覚えてないかもしれないけど、日本のi-mode が出た時に、すごかったんだよ。世界で最初のインターネットに繋がる携帯電話で。
安野:私が小学5年生くらいの時にはじめて見ました。
中島:あれが一気に普及した日本ってすごいんだよね。テクノロジーに対する国民の理解度みたいのは高いから、AI とかを上手く取り入れてくれるんじゃないかなと。
安野:いや、そうだと思います。やっぱり AI が出てきてるのって、すごい今、日本にとってチャンスだと思ってて、あれによってすごい競争環境もいろいろ変わりますし、勝ってる会社とか、プラットフォームも、どんどん入れ替わっていくタイミングだと思うので、いろいろ入れ替わりやすいタイミングで、しかも、日本ってそもそも労働人口がどんどん減っていって、このままだと人手不足でサービスレベルが維持すらできないのが見えてる中で、いろんな企業とかがこぞってを AI 導入していかないと、今後ヤバいっていうモードになりつつある。しかも個人として消費者一人一人も、割と AI に対して神話的な感情を持ってらっしゃる方が多いので、日本は AI 時代っていうのはチャンスだと思いますね。
中島:でね、一つ僕思ってるのは、じゃあ日本も LLM 作ったほうがいいのかとか、GPU 作ったほうがいいのかとか議論があるけど、アメリカはある方向にガーンと進んでるじゃん。ある程度の後追いはしてもいいんだけど、先に行かないといけない部分があると思うんだよ。今、OpenAI にしろ、Google にしろ、もうとにかく彼が作ろうとしてるのが、AGI と呼ばれる、人間より賢い要は IQ がものすごく高い AI を作ろうとしてるじゃん。
中島:僕、日本は目指すべきは、EQ が高い AI。エモーショナルな。
安野:面白いですね。
中島:うん、目指すべきだと僕は思うんだよ。EQ が高いのは何かっていうと、例えば AI で教育する時に IQ だけが高い先生AI 作っても、つまんないわけよ。そういう AI には子供の気持ちとかわかんないから。そっちが強い AI っていうのは、どうやったら子供が勉強したくなるのかとか、そっちが強いわけ。
安野:なるほど。いや、それめちゃくちゃ面白い話ですね。
中島:ドラえもんって実は EQ 高いんで。
安野:めっちゃ高いっすよね。分かります。
中島:でしょ? IQ が高いじゃなくて EQ が高いので。なので、そこは全然アメリカ人とかピンと来てないから。
安野:なるほど。それは面白い。
中島:で、そこに、それを政策でどうやって、エンカレッジして、みんながそこに投資するようにするかっていうのは、ちょっと考えてもらったほうがいいけど、僕はそこは狙えるように気がして。EQ が高い AI を作れば、それで子供に、要は1対1の家庭教師ができますよ。ね、寂しい老人には話し相手ができます。冷たい AI じゃなくて、あったかい AI がいる。それ、僕はすごく未来像として美しいなと思って。
安野:いや、めちゃくちゃ面白いですね、その話は。今の話聞いてて、IQ が高い AI が生まれることのインパクトも、もちろんあると思うんですけど、科学とか経済とか、そういった分野にはすごくあると思いつつ、多分 EQ の高い AI が生まれた方が、人間社会の、人の日々の生活に対しては、そっちの方が実はインパクトが大きいんじゃないかなと思いますね。
中島:そうでしょ?で、さっき言った、要はロボットが託児所にいて世話してるって言うと、みんな IQ の高いロボットがいるようなイメージで嫌じゃん、それは。でも、EQ が高いロボットだったら任せていいみたいな。要は親が安心して任せられる、子供を預けられるロボットがいる。それはすごい温かい社会でいいなって。
安野:そうですよね。いや、めっちゃ分かります。AI って聞くと、そういうちょっと無機質なイメージとかが今はあると思うんですけど、これ、すごく割とすぐ変わっていく、その認識だと思ってまして、例えば ChatGPT が出てくる前の人工知能との対話と、ChatGPT が出てくる後の対話で、全然「AI ってこんな感じだよね」っていうイメージがガラッと変わったと思うんですよね。例えば自動運転とかも、実際に乗ってみることで、むしろこっちの方が安心できるみたいな。運転も人間にやらせるより安心できるみたいな声とかもあったりしていて、EQ が高い AI っていうものが、実際に出てきたら、すごく人間はそれと仲良くなりたいとか、それに対して安心感を覚えるようになる気がしました。
中島:はい、ですね。いや、いいな。あと8分って出てるけど、大丈夫かな?
安野:そうですね。
司会:はい。そろそろ、ありがとうございます。本当にあと2時間でも3時間でも、お話したいような感じだなと。
安野:中島さん、また日本に来るタイミングや私がシアトルに行くタイミングなどでお話を。ぜひオフの場などでもさせていただけると嬉しいです。
中島:はい、ぜひ、ぜひ。頑張ってください。
安野:頑張ります。ありがとうございます。本当に良い機会を頂いてありがとうございます。今日もたくさんの方が見て頂いてて、すごく私としても嬉しいです。
中島:応援しますんで。ありがとうございます。頑張ってください。よろしくお願いします。
安野:ありがとうございます。そう言って頂いて嬉しいです。では、中島さん、ありがとうございました。
中島:失礼します。
注意事項
- AIで書き起こしした文章のため、誤字などの間違いがあるかもしれません。随時直します。
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