はじめに
はじめまして、Raycast日本コミュニティの矢野です。
最近、Singularity Societyのコミュニティパートナーとして認定いただいたご縁で、この記事を書かせていただいています。
なぜ僕たちがRaycast日本コミュニティを立ち上げたのか。
この記事では、その背景にある想いやストーリーをお伝えできればと思います。
僕自身これまで、文学、映画、音楽、ゲームなど、様々な作品に心を動かされてきました。けれど、ソフトウェアでこれほど感動したのは、Raycastが人生で初めてでした。
Raycastを知ったきっかけ
僕は2022年にLINE社のPodcastでRaycastを知りました。
最初はインストールしたものの、一つひとつカスタマイズが必要で、「どう使えばいいのか?」というイメージがわきませんでした。それでも、なぜか不思議と魅力を感じて、少しずつ使い続けるようになりました。
試しにさまざまな機能を探索していくうちに、Raycastは本質的に「必要なことに集中させてくれるツール」だということに気が付きました。 例えば、「カレンダーアプリを開くのが面倒」、「会議の開始・終了時間を手早く知りたい」といったニーズを言語化することで、「My Schedule」などの機能が役立つと理解できるようになりました。
こうしたニーズの発見と試行錯誤を繰り返す中で、「えっ、こんなことまで短縮できるの!?」という感動(wow体験)が何度も訪れました。
一度問題を解決すると、以前のような手間が不要になる。そんな積み重ねが、Raycastの魅力にどんどん引き込まれた理由だったのだと、今では思います。
コミュニティとの関わりと広がり
使い続けるうちに、僕は拡張機能(サードパーティアプリを動かす連携機能)の自作に挑戦するようになりました。
Raycast ExtensionsはOSS(オープンソースソフトウェア)として開発されており、1000人を超える開発者が関わっています。
当時、日本発のサービス連携はほとんどなく、僕はChatworkの拡張機能を作り、人生で初めてOSS開発に関わることになりました。
さらにRaycastの公式コミュニティには世界中から2万人以上が参加しており、彼ら(彼女ら)との交流を通じてますますRaycastの虜になっていきました。
気づけば会社の同僚(開発部10人全員)にもRaycastをインストールしてもらうほどに僕自身も、そして周りもRaycastに魅了されていったのです。
Raycastに見えてきた課題
他社のエンジニアと話していると、僕と同じようにRaycastを布教している人たちがいることに気づきました。
けれど、そうした人たちや布教された側から、僕自身も経験した「インストールしたけど使い方がよくわからない」という声がよく出てくることに気がつきました。
Raycastのコミュニティでも、世界中で同じ課題が話題に上がっており、Raycast社自身もオンボーディングに課題を感じ、コミュニティで意見を聞いたり、新機能をリリースしたりしていました。
ただ、僕から見ると人が直接教えたほうが早そうだなと思うようになりました。
ローカルコミュニティ立ち上げへ
2024年までにOSS開発者は1000人を超えていたものの、Raycastにはローカルコミュニティが存在しませんでした。しかし、2024年7月、ついにイギリスで公式meetupが始まり、現地では感動をシェアし、課題を一緒に解決する場が生まれました。 これを知ったとき、「日本でもやらねば」という衝動に駆られました。会社のSlackでその思いをつぶやいたところ、Raycast好きの同僚・山口さんが背中を押してくれ、ついに2024年7月、日本コミュニティを立ち上げることができました。
※2024年7月6日 slackより
Raycast日本コミュニティの歩み
2024年7月、Slack上での雑談から始まったRaycast日本コミュニティは、仮説検証として翌月におよそ30人規模のMeetupを実施しました。
Meetupに集まった人たちの熱量や実際の声を聞いてローカルコミュニティが必要であることがわかりました。ローカルコミュニティは「明らかに必要なコントリビューション」だったのです。
その後、もっと早くもっと大きな認知を日本で取りたいと思い活動をしていく過程で、僕らは中島聡さんと一緒にイベントをやる機会に恵まれました。
そして、中島聡さんと共催で「AIによる開発の未来」をテーマにしたハイブリッドイベントを開催し、600人を動員。これをきっかけに、Slackに自ら参加してくれる人も現れ、コミュニティの存在感が日本で急速に高まりました。
2025年2月には、Raycast社と公式コラボで初の公式meetupを東京で開催。ハイブリッドで合わせて100人超を集め、Thomas(CEO)とPedro(ブランディングチームの責任者)の登壇もあり、会場の熱量は最高潮に。
参加者の中からはRaycast Proに課金を始める人や、新たな使い方を共有し合う人、さらには参加者同士で友人になっていく人も現れました。
熱量の高い活動が認められ、Raycast社からノベルティの提供や、CEOのThomasやブランディング責任者のPedroが日本向けに特別な最新機能をYouTube Studioから先行紹介してくれるまでに発展しました。
コミュニティの成長と支援
現在、Raycast日本コミュニティは
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Meetup動員数150人以上
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slack参加者数100人
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X(旧Twitter)フォロワー数350人 という規模に成長しています。
この成功の背景には、Singularity Society[1]の支援があります。僕は1年間のサービス開発ハッカソン「Bootcamp」で彼らと出会い、その縁からRaycast日本コミュニティをバックアップしていただき、現在はコミュニティパートナーとして、ともに活動しています。
現在では、Meetupで仲間を見つけ僕らは6人の運営チームで動いています。
Raycastが持つネットワークの魅力
Raycastの魅力は、単なる製品そのものにとどまりません。 GitHub、Shopify、Vercelといった世界的テック企業のCEOから投資を受け、グローバルのSlackコミュニティには世界中の優秀なエンジニアやデザイナーが集まり、最新のソフトウェア情報や起業アイデアが活発に飛び交っています。
日本のローカルコミュニティでも、感度の高いエンジニアや生産性オタク、起業家志望のような尖った人材に出会えることが大きな魅力です。 Raycastを通じて、僕自身も多くの刺激と学びを得ています。
彼らとともにコミュニティを作っていけばいずれRaycastの推し活を超えてスタートアップが生まれるような尖ったコミュニティに進化する確信があります。
Raycast日本コミュニティを中核に日本で世界最高峰の製品を作る人々の居場所をつくることが僕のやりたいこと[2]です。Raycastを日本中に広めることは必然なので目標としては意識していません。
僕は、Raycastが広まるその先に世界最高峰の製品を作る人々の居場所があると確信しています。
仲間を募集しています
日本で世界最高峰の製品を作る人々の居場所をつくるためにやれることがたくさんあります。まだ公表できてないないものをいくつかありますが、すでにいろいろなチャンスを実現しつつあります。
Raycastに興味のある方はもちろん、僕らの活動や未来に共感し、「一緒に面白いことをやりたい!」と思ってくれる方の参加を、心からお待ちしています。
[1]シンギュラリティ・ソサエティは、中島聡x夏野剛の呼びかけにより設立された、人工知能を活用したアプリケーションやサービスを開発し、内発的動機付けで行動するエンジニア、起業家、社会起業家をサポートするコミュニティー
[2]現在はDevXというチームを組成して、この実現に取り組んでいます
