破壊的イノベーションは「異常」から始まる

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「まずは顧客にヒアリングしよう」「カスタマージャーニーを描こう」──

新規事業やスタートアップの世界では、いまや常識となったアプローチです。

確かにそれは、既存顧客のニーズをよりよく満たす連続的(持続的)イノベーションにおいては有効です。しかし歴史を振り返ると、本当に世の中を変えたサービスは、顧客に聞いても決して生まれなかったのです。


「欲しいですか?」と聞かれても、誰も欲しいとは言わなかった

たとえば次のような問いに、あなたは「欲しい」と答えられるでしょうか。

どれも当時の常識では「不便・危険・意味がない」と思われていました。

顧客にアンケートを取っていたら、99%が「いらない」と答えたでしょう。

それでも、いまやこれらは世界中で当たり前に使われています


なぜ顧客調査からは出てこないのか

破壊的イノベーションが顧客調査からは生まれない理由は、実はとても単純です。


「異端者の直感」から始まり、「翻訳」されて広がる

これらを生み出した創業者たちは、顧客の声ではなく、自分自身の違和感や執念を起点にしていました。

つまり、**最初は「市場ニーズ」ではなく「個人的な信念」**でした。

しかし彼らは、単なる奇抜な発想で終わらせず、異常なアイデアを「世の中に翻訳」していったのです。

-まず少数者で実験好奇心旺盛なユーザーだけに体験させ、熱狂を起こす

-安心感の設計レビュー制度・保険・ルール・洗練されたUXで「怪しさ」を消す

-価値の言語化「安いホテル」「新しい交通手段」「直感的操作」といった理解できる言葉に置き換える**「不気味」→「面白い」→「便利」→「当たり前」**という順番で、彼らのアイデアは世界に広がっていったのです。


破壊的イノベーションの「兆し」はどこにあるか

では、未来の破壊的イノベーションを見つけるにはどうすればいいのでしょうか。実は、いくつかの「兆し(シグナル)」があります。

🧩 少数が異常にハマっている

🧪 常識的な価値をあえて犠牲にしている

🧠 理屈より「美意識・世界観」で語られている

🧬 既存の「用途」に当てはまらない

🌍 制度や文化が追いついていない


顧客に聞く前に、まず「未来を見せる」**破壊的イノベーションは、顧客に「何が欲しいか」を聞いても出てきません。**必要なのは、自分や少数者が信じる未来の世界観をまず形にしてみせることです。

最初は理解されなくても構いません。

小さく動かし、熱狂させ、翻訳し、安心させて、広げていく。

「顧客に聞く」のではなく、

「未来を先に体験させる」──そこから世界は変わり始める。

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